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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十四話 出征前
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い物もある。おかげで仕事が楽になった。

艦隊の方もようやく編制が終了した。当初五千隻の予定だったがどういうわけかラインハルトが艦隊は一個艦隊一万五千隻に編制せよと言ってきた。おかげでちょっと手間取った。艦隊司令部の人選もそれなりに整いつつある。

副司令官にシュムーデ中将、分艦隊司令官にルックナー中将、リンテレン中将、ルーディッゲ中将、参謀長にクラウス・ワルトハイム准将、副参謀長にシューマッハ大佐だ。

ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ中将は決して目立つ存在ではない。しかし堅実で安定感はある。一個艦隊は難しいかもしれないが分艦隊の司令官なら十分に有能だ。

ラインハルトが自分の分艦隊司令官にするだろうと思っていたんだが、以前彼らに助けてもらった事が尾を引いているのか、自分のところには入れなかった。俺としてはラインハルトのためにわざわざ彼らをフリーにして置いたんだが。使わないんなら俺の配下にさせてもらう。

モルト中将にも来て貰った。皇帝に万一の事が有った場合は、俺の下で次席指揮官として憲兵隊を統括してもらうつもりだ。補佐にはキスリングがいるから問題ないだろう。彼とリューネブルクがいれば地上戦は問題ないはずだ。

俺の旗艦も決まった。戦艦ロキ、ブリュンヒルトの設計思想を反映して建造された戦艦だ。つまりキルヒアイスのバルバロッサと同じなのだが、この世界では未だキルヒアイスは大佐だ。それで俺に来たらしい。しかしロキね。

大神オーディンの所属するアース神族とは敵対する巨人族に属しながらもオーディンの義兄弟となった神。北欧神話最大のトリックスターという説もあるが、どちらかと言えば悪魔神に近いと俺は思っている。

ラグナロックにおいては巨人族を率いてアース神族を滅ぼすために出陣し、最後はヘイムダルと相打ちになった……。どういうつもりでロキとつけたのか分らないが面白いな。誰にとってのロキになるやら……。

ラインハルトの方も艦隊編制が終わりつつある。参謀長にはシュタインメッツ准将を登用した。分艦隊司令官で使うより良いだろう。冷静で沈着な男だ、頭に血が昇った司令長官を抑えてくれるだろう。分艦隊司令官にはアスターテで配下だったフォーゲル、エルラッハがいる。

キルヒアイスは相変わらず副官のままだ。それは良いんだが、問題はオーベルシュタインがラインハルトの配下になったことだ。宇宙艦隊司令部の廊下で会った時、最初は判らなかったんだが、眼をチカチカさせながら義眼の調子がなんて言っている。

思わず、体が硬直した。何を話したか良く覚えていない、気がついたら執務室で水を飲みながら書類を決裁していた。ヴァレリーが妙な顔をして俺を見ていた。俺だって水くらい飲む。

よくよく考えてみると、オーベルシュタインがイゼルローン要塞駐留艦隊に配
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