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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第503話】
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再度歩き始めた。

 そうこうしてる内に病室に到着、俺は病室のドアをノックすると中から「どうぞー」という声が聞こえてきたため、室内に入った。


「あ、あら。 ひ、ヒルトくん」

「面会に来ましたよ、楯無さん」


 何故か俺を見て若干狼狽する楯無さん、心なしか頬に赤みが射してる気がするのだが――。


「怪我の具合はどうです、楯無さん?」

「う、うん。 血は流れちゃったけど、ほら、お姉さんって無敵だからね。 背中の傷痕も残ってないわよ?」


 最先端の医療技術が揃ってるのもあるが、傷痕が残らないという事に俺は安堵した。

 幾らなんでも女の子の背中に大きな斬撃の傷があれば、それが心に深い傷を負わせる結果になるかもしれない。

 備わっていた椅子に座るや、俺は持ってきた袋を楯無さんに手渡す。


「あら、お姉さんへのプレゼント? ふふっ、他の子が知ったら皆怒っちゃうわよ、ヒルトくん?」


 そう言いつつも嬉しそうな表情を見せた楯無さんだったが、中身を見るとその表情が変わった。


「……手芸……」


 中身を見てから何だか恨めしそうな目で俺を見てくる。


「楯無さん、簪から聞いたけど手芸が苦手って。 せっかくだから苦手を克服しましょう」

「……ヒルトくんの意地悪」


 そう言いつつ、何だかんだで受け取り、早速手芸セットを使って何を編もうかと思案し始めた。


「……ヒルトくんの首を絞めるにはどれぐらい太く作れば良いのかしら」

「え?」

「ふふっ、嘘よ嘘。 ……お姉さん、昔から手芸だけは苦手なのよね。 どうしても上手く作れないのよ」


 困ったような笑顔を見せる楯無さん、丸まった毛糸の糸をコロコロと転がしながら――。


「昔ね、簪ちゃんと御揃いの手袋を縫おうとしたのがきっかけだったかな。 ……全然上手くいかず、指が四本の手袋が出来ちゃってね……。 ふふっ、なかなか思った様に完璧には出来ないのよね」

「……完璧に出来る人間は居ないですよ」

「え?」


 コロコロ転がしていた毛糸の玉が転がり落ちる、それを俺は拾うと――。


「何処かしら苦手な事があるからそれを支える人間もいる。 そうやって互いが互いをカバーしあえれば良いと思いますからね。 世の中偏差値の高い人間ばかりじゃないんだし」

「……そうよね」


 襲撃事件時、楯無自身早く他の皆の元に駆け付ける為にと強力な技を使おうとしたのだが今になって思ってもあの考えは愚作だと思う、もし未来ちゃんがいなければ、冷静になれずに使っていたかもしれない。


「だから、楯無さんはもっと周りを頼らないとね? 微力ながら俺も力を貸しますし」

「……
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