四十九話:変動
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を忘れていたよ。今度はもっとピーキーな―――」
そこまで言ったところで不自然にスカリエッティの声が途切れる。
その顔を喜びとも驚愕とも見分けのつかぬ表情が浮かび、彼の声は途切れさせられたのだった。
(エリオ…キャロ……大丈夫?)
(なんとか……大丈夫…です)
(こっちも……まだ…いけます)
全身がボロボロになり今にも倒れてしまいそうなティアナが二人に呼びかける。帰ってきた返事はどれも弱々しいがその芯にある力強さだけはまだ残っていた。三人は戦闘機人四人にルーテシアとその召喚獣十数体を相手にしてまだ粘っていた。
戦略的目標としては相手をできるだけ消耗させることなので成功したと言っていいだろう。しかし、戦術的目標としての勝利は掴めそうもない。だが、三人は誰一人として諦めていなかった。ここにあと一人が加われば世界の終わりすら防いでしまえるように思えるだろうがスバルは今は敵だ。どうしようもない。
「たく、ちょこまか逃げやがって! いい加減諦めろよ! お前らに勝ち目はねえんだよ!」
「そうそう、残念なお知らせも入ったっスしねー」
物陰に隠れている三人に対してノーヴェとウェンディが煽るように声をかける。三人共そのような子どもじみた挑発に乗るような性格ではないが残念なお知らせという言葉に目を向ける。その視線を一身に浴びるようにギンガの姿が現れる―――スバルに横抱きにされた状態で血を流しながら。
(ギンガさん!)
(待ちなさい、エリオ。今出て行ったらそれこそ袋叩きよ)
(でも…!)
(……いいから、耐えなさい)
乱雑に地面に投げ捨てられたギンガの姿に思わず飛び出そうとするエリオだったがティアナに止められる。それに対して抗議の声を上げるが血を吐くような言葉にハッとして口を閉じる。本当は彼女だってすぐに駆け付けたいのだ。しかし、それをすれば飛んで火にいる夏の虫だ。みすみす仲間を失うわけにはいかない、地上の為にも、仲間の為にも。その葛藤が彼女の中にあるのだ。
「ちっ、出てこねーのかよビビり共が。いーぜ、そっちがその気ならこいつをぶっ殺してやるよ」
「ノーヴェ、それちょっと不味いんじゃ……」
「うるせえ!」
痺れを切らしたノーヴェが姉妹達の制止を振り切り身動きの出来ないギンガに殴りかかる。本人としては脅しとして言ったつもりでスカリエッティの命を守り回収するつもりだったのだが、姉妹達に誤解されてしまったために子どもっぽい彼女は引くに引けなくなってしまったのだ。
若干の後ろめたさもあり幾分か威力を殺した拳がギンガに迫る。事実を知らないキャロが思わず声を上げてしまいそうになりエリオがその口を手で塞ぐが結局のところノーヴェの手がギンガに届くことはなかった。
「……なんだよ。
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