第三部
名誉と誇り
にじゅうろく
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たぁ、何年振りになるかねぇ」
野獣のような獰猛な笑みを見せるガルドに、ヴァルクムントはふんっ、と鼻を鳴らす。
「この森はよぉ、色んなモンを喰らってきやがった。ときたまバランスが崩れちゃあ化け物共が溢れ出て来やがる」
「……“大渦災”なぁ。5年くらい前だったか?」
「今年で6年だな」
だいかさい? 初めて聞く単語に、私はエリステインに何かと問いかける。
「大渦災は獣や魔物が森から溢れてくる現象なのですが、数年から数十年と起こりうる期間は一定ではないんです」
「魔物の大氾濫といったところか。なにか兆候が見られるようなことは?」
「……ありません。全くもって予測不可能なんです」
それは厄介極まりないな。
硬い肉が大量発生し、その処理に付き合わされたことを思い出す。
ウォーリアーやクイーンごときに負けはしないが、正直あの数と、特殊な戦闘地形で交戦することが多いため、中々に面倒なのである。
種族の特性上、広域というか、大多数を一度に相手取るような武装は皆無と言ってよく、コンピューターガントレットに搭載されているプラズマ爆弾が、持ち運びできる唯一の広域殲滅兵器と言っても過言ではない。
討伐する対象は違えど、そういったことがこの星でも定期的に行われているということは、それなりに対策もあるのだろう。
なんせ、魔法が存在しているのだから、それを利用しない手はない。
「そう、ですね。大渦災の際はこのように国軍、傭兵、冒険者と大多数の人員を動員して事に当たります。広域殲滅魔法を使える魔法使いはもちろん重宝しますが、何分数が少ないもので……。それを補う形で、攻城兵器を利用することもあります」
単純な大質量の物理攻撃でもって、対象を粉砕するわけだ。確かに理に適っている。
その他にも聞いてみれば、稀に混沌獣もその姿を現すようなこともあり、その際は必要以上の犠牲を払って討伐するか、成り行きを見守るらしい。
何故、成り行きを見守るようなことをするのかと言えば、それは大気中に漂う“魔素”が関係しているとのことで、基本、混沌獣が生息している場所は魔素が多く、混沌獣はそれを好んで住み着いているとのことだ。
それに比べ、人が住まう場所は魔素が薄く、混沌獣はそれを好まない、と言うのが学者の見解であり、それにならって派遣された討伐隊は安全圏まで撤退し、森に帰って行くのを静観し、追撃は行わないとのことだ。
人的被害の拡大を抑えるという意味でも、混沌獣との戦闘を避け、追撃を行わないということはもちろん、そもそも魔素が濃ければ濃いほど人間には良い影響を与えず、所謂、『魔素に酔う』といった状態
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