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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
1話
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を打ち切るように席に戻る。

 そのままぼんやりと他の人の自己紹介を眺めた。

 全員の自己紹介を終わったところで教室の扉が開けられ1人の女性が入ってくる。それは僕でも知っている有名人だった。

「あ、織斑先生。もう会議は終えられたのですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

 ―――織斑 千冬。第1回IS世界大会モンドクロッソ総合優勝、格闘部門優勝者。

 誰もが憧れる世界最強のIS操縦者。周りからは敬意を持ってブリュンヒルデと呼ばれている。

「い、いえ、副担任ですから、これくらいはしないと」

 今は第一線を退き、IS学園の教師になっているのは電話した時に知っていたが実際に見るのは初めてだ。
 退いたと言ってもその強さは折り紙つきというのは誰もが知っている。
 思わず心が踊ってしまう。

 理由は決してミーハーなものではなく。

 身近に最強と呼ばれるほど強い人が居ることにだ。

 ISという機械の着地点を考えると不謹慎かもしれなかったが、それを上回る嬉しさがあった。
 世界最強と言われている人と戦う機会があるかもしれない、それを考えるとワクワクする。

「諸君、私が織斑 千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。
 出来ないものには出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 とんでもない暴力発言にしか聞こえない。でもISの素人を僅か1年である程度の実力を、そしてISを使う重さを芯まで理解させると、僕はそう聞こえた。
 思わず背筋が伸びる。ピリッ、とした緊張感が自分の中に走った。

 だが周りはその言葉の重さを理解していないのか、教室内からは黄色い声援が上がる。

「キャ―――! 千冬様、本物の千冬様よ!」

「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

「あの千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」

「私、お姉さまの為なら死ねます!」

 突然の有名人の登場に完成を上げる女生徒たちを、織斑先生は顔をしかめてうるさそうに呟く。

「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 心底うざったそうにしている織斑先生。どうやら本心から言っているみたいだ。

 騒いでいるクラスメイトを冷めた目で見ながら僕は。

 ―――この人たち、なんでここにいるんだろう?

 そんな素朴な疑問を持った。
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