1話
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恥ずかしくなったのか、咳を数回してごまかすようにして話題を変えた。
「な、なぁ鬼一ってISについてどれくらい知ってる? 俺、ほとんどISについて分からないんだ」
たった2人の男性として気になるんだろう。小声で一夏さんは顔を寄せながらそんなことを聞いてきた。
「一応IS学園で配布されてる、電話帳くらいの厚さのある教科書の内容は全部頭に入れてあります。あと、それ以外でしたら各国のISの代表や代表候補生の情報とか、専門的な話しでしたらPICやカスタムウイングの最新レポートなんかも目を通しました」
その言葉に、うげっ、という擬音が聞こえてきそうな顔をした一夏さんは、そのまま気まずそうに手を合わせてお願いする。
「お願いだ鬼一。俺、ISに関しては素人同然なんだ。鬼一がよければ教えてくれないか?」
手を合わせたまま一夏さんは小声だが、必死そうにお願いしてきた。
正直自分のことで手一杯であまり人に時間を割いている余裕はないのだが、無下に断るのも良くないだろう。
「僕も自分の勉強やトレーニングがあるので、あまり時間がないのですが空いてる時間でよろしければある程度教えることできますよ」
その言葉に救われたように顔を上げた一夏さんの表情は嬉しそうだった。
「た、助かる! ありがとう鬼一!」
一夏さんからお礼を言われたタイミングでチャイムが鳴ったので2人とも席に戻る。
自分が席に着くとほぼ同じタイミングで、緑色の髪の毛が特徴的な女性が教室に入ってきた。
教壇の前に立つと自己紹介を始める。
彼女はこのクラスの副担任で名前は山田 真耶というらしい。
身長が他の女性よりも低く、更にサイズの合っていない大きな服を着ているからか余計に小さく見える。
「それでは皆さん、1年間よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします、山田先生」
変な緊張感に包まれる教室内だったが、そんなことは気にせずに席から立ち上がり頭を下げる。
クラスメイトの視線が僕に集まる。が、僕の行動を見た一夏さんも立ち上がり慌てて頭を下げた。
2人しか反応がなかったからか、山田先生も驚きながら返事をする。
「は、はい! よろしくお願いしますね」
そのまま僕と一夏さんは席に着く。これからISを含め様々なことを教えてもらう、人生の先達に対して反応を返さないというのはどうだろう?
自分たちは教えてもらうのが当然だと考えているのだろうか?
そんな疑問、違和感のようなものが胸に残った。
「じゃあ、皆さん自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」
そんな言葉を耳にしながら横目で僕の左前にいる一夏さんを見る。
横顔からしかわからないが、話していた時の明るい表情ではなく
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