大好きな母
[8]前話
母が何時も水汲みに使う小川は村の中心部からほど近い。
もしかすると、村人にまた何かされてるんじゃ…。
そんな良くない考えが頭にうかぶ。
「母さんっ!……母さんっ!」
焦りばかりが募る。
私がこんな色だから、村人達から疑惑をかけられ、嫌われた、穢らわしいとさえ言われた母。
私の色は確かにおかしいけれど、母の美しい鼻のラインと唇はソックリで、母が『あの人』と呼んでいる今は村で他の女の人といる父とも目や眉の形や顔の輪郭がソックリだ。
つまり、母は不倫なんかしていない。
私が勝手にこんな色になったんだ。
もしも、母に何かあったら……。
考えただけで頭が真っ白になって、胸が苦しい。
唯一私を愛してくれる人。
「……ぅぐっ!いやだぁ!!……母さんっ!!」
涙で森の傾斜を駆け下りる足元が霞んで見える。
ちゃんとした靴なんか履いていないから、石や草等で足に赤い線が走る。
ジクジクとした痛みがあるが、立ち止まっていられない。
「・・・ッ!!・・・・!?・・・ッ!!」
声が聞こえる。
近くに、母が、居るのがわかった。
私は傷だらけの足を速めた。
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