第80話 予想外の事は何時も予想外のタイミングで起こるから予想外と言える
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
両方!? 両方だと!?
確かに、銀時の耳にはそう聞こえた。今しがた、目の前で桜月の放った斬撃をシュテルが両手で白刃取りした後に、それを払い除けたのだ。
だが、それら一連の動作はシュテルが全てやった訳ではないようだ。
彼女が言うには、ようやく目を覚ましたなのはが自発的に行った行動だと言うようだ。
今更ながら、何時なのはにあんな芸当を仕込んだだろうか? 確かに銀時の戦いを幼いころから間近で見ていた筈だが、だからと言ってあんな動作をすぐに出来る筈がない。
ましてやなのはには実戦経験がない筈。それが一体どうして―――
「やっぱ……お前があいつを守ってくれてるのか?」
そう呟きながら、銀時は左手に持っていた白夜を見つめた。白夜に視線を移した意味、それはこれをかつて使っていた人物に辿り着く。
かつて、妖刀と恐れられた白き刀『白夜』と朱き刀『桜月』。この二本の刀を手に持ち戦場を駆け抜けた白夜叉に並ぶとされる赤き鬼神。
(紅夜叉……)
銀時の脳裏にその名が浮かんだ。桂や高杉、坂本と同じように銀時と共に攘夷戦争を戦った仲間であり銀時が幼少時代に初めて会った異性であり、そして……もう二度と会う事の出来ない存在。
紅夜叉に関する詳細は明かされておらず、世間では紅夜叉の存在すら知らない連中が大半を占めている。
それもそうだ。戦争が終わった後、高杉率いる鬼兵隊の根回しにより紅夜叉の活躍が全て闇に葬られたのだ。
情報操作とでも言うのだろう。戦争で疲弊してはいてもそれ位の事は出来た。そのお陰で紅夜叉の存在を世間が知る事は困難な事となってしまっていた。
だが、銀時は確実に覚えている。戦争中も片時も自分の傍を離れずに自分のすぐ隣で圧倒的強さを誇った赤い鬼神。
その強さは銀時は愚か、攘夷志士全てが束になって掛かっても恐らくは勝てないだろう。嫌、もしかすれば紅夜叉を倒せる強者はこの世には現れないのかも知れない。
そう思える程に紅夜叉は強かった。強すぎた。強すぎるが故に……彼女は戦争で命を落とす事となってしまった。
ただ、自分に課した信念を守るが為だけに―――
「両方だぁ? 何訳の分かんねぇ事ほざいてんだ? ほら吹くにしたってもうちっとマシな吹き方があるだろうが」
「嘘でもほらでもありませんよ。私が言った事は紛れもない真実の事です」
「体一つで何言ってやがる。まさか一つの体の中に二つの人間が共生しているとでも言うのか?」
「無機物にしては知恵が回るようですね。貴方の仰る通りの事です。今この体の中には私ともう一人の私が入っています。それはつまり……こう言う事も出来るって事だよ」
突然シュテルの口調が変わった。かと思うと突然彼女の体が発行しだし、頭上から赤紫色の様な光の玉が姿を現しだした。現れた光の
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ