第25話 湯ぶねの2人
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―――そこで百代は前々から気になっていた事を士郎に切り込む。
「なあ衛宮」
「ん・・・?」
「お前はどうしてそこまでの強さを手に入れるのに、あんなバカみたいな鍛錬を積んでるんだ?だって必要ないだろ。お前は私の様に誰かに勝ちたい強くなりたいと言う欲求もないし、性格がまゆまゆみたいだとしても武家の家でもない。なのにお前は地力なら私よりも上だなんておかしいじゃないか」
「・・・・・・・・・」
百代の言葉に士郎は客観的に見た場合、確かにと自嘲しながら言葉を選ぶ。
そして空を見上げながら言う。
「・・・・・・守るためだな」
「守る?何からだ?」
「――――そうだな。川神は別にその力で将来世界を壊したいとか、世界征服するとかそんな気は無いんだろ?」
「当たり前だろ?何だその昔の大和みたいな中二病的発想・・・」
予想外の言葉に百代は嘆息する。
当の士郎も言葉の選択を間違えたかと苦笑する。
「兎に角、川神がこれからも社会の一部として生きていく気なら、そこをつけ入る様にして川神――――ひいては川神院を追い詰めようとする輩が出てくるはずだ。実際いるんだろ?川神院そのものを疎ましく思っている奴らは・・・」
「まぁ、聞いた事位はな。だがそんな奴らは蹂躙してしまえば――――」
「それだ、川神。そう言う奴らはお前の報復行為を実行する機を狙ってるんだよ。それ等に対して罠を張り証拠を突き付けて、川神院の社会的信頼や地位を貶めようとしてくるだろう。それに備えるには知識を身に着けて、幅広い顔を売り、情報を得り続けて対抗策などを考えることが大切なんだ」
「・・・・・・・・・」
百代は士郎の言葉に関心もするが、それ以上に呆れていた。
自分と同い年でそこまで考えてんのかお前は、と。
それにある事に気付く。
「――――って、ちょっと待て!肝心の腕っぷしの強さについて聞いていないぞ!今のだけなら力そのものは必要ないだろ?」
「分かってる。――――これは本来藤村組の部外者である川神に言ったら不味いからオフレコで頼みたいんだが、俺も把握してるわけじゃないが、世の中には百代に匹敵する或いはそれ以上の実力者も結構いるはずだ。裏社会には、な」
「裏社会・・・!」
百代の反応に、やっぱり喰いついて来たかと今度は苦笑いをする。
「だけどそういう奴らは、あくまでも仕事としている部分が多くあるんだ。だから“武神に勝った”と言う箔を欲しがる奴らは皆無とまでは行かないが、それは度多くないと思うぞ?」
「・・・・・・・・・」
この事に百代は明らかに気落ちする。
少なくとも背中越しで判るくらいには。
「話を続けるぞ。それでそういう奴らは合理性や確実性を重視するんだ。だから俺や
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