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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第501話】
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う声をかけた少女、手に持つトレーの上には黒ずんだ何かが乗っていた。


「やあやあ、くーちゃん。 どうしたの?」

「あの、パンが焼けました」


 そう言って見せる黒ずんだ何かはパンだった、形からかろうじてパンだと認識は出来るものの、半分以上が炭化しているそれを食べようとするものは居ないはずだった――だが、束は瞳を輝かせてそれにかぶりつく。


「んー、うーまーいーぞー」

「嘘です。 不味いに決まっています」


 少女は料理が苦手だ、それを人に――それも、自身にとってこの世の全てよりも重い、かけがえのない人に失敗した料理を振る舞うのは本意ではなく、正直申し訳ない気持ちの方が先行していた。

 黒ずんだ炭もどきを全て平らげる束に、黙ったまま立っていた。


「ねえ、くーちゃん」


 呼ばれて意識をそちらに向ける少女、だが彼女はその瞼を開くことはなく、ずっと閉じていた。


「あのね、ちょっとお使い頼まれてくれないかなぁ?」

「何なりと」


 そう返事を返した少女に、束は不満だったのか唇を尖らせて――。


「もー、堅い。 堅いよー。 くーちゃんは、束さんの事をママって呼んで良いんだよ?」


 ママ――いつかそう呼べたら……そう思う、だが今は……。


「それで、使いというのは?」


 一旦考えていたことを頭の隅に追いやる少女、束に使いの内容を聞いた。


「うん。 届け物をして欲しいんだよねー」

「わかりました。 場所は何処でしょうか?」


 そう尋ねた少女に、束は答える、差し込む月明かりに照らされた束の笑顔には何処か狂喜が見え隠れしていた。


「IS学園、地下特別区画――」
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