第百八話
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何だ?」
「なんかイグドラシル・シティの方のお店に比べて……うん、可愛くない」
可愛いとはなんぞや、という質問に微妙に噛み合っていない答えを聞きながら、こちらも何が本店と違うのか頭を捻る。完全にコピーしたと思うのだが、女性から見るとまた違うのだろうか――と、そういえば本店の内装はリズが決めていたことを思いだす。俺は指示を受けて持ち運びしていただけで。
「じゃあ……ユウキならどうすればいいと思う?」
「え? ボク!?」
ならば女性目線でどうすればいいか。それを聞こうと目の前の女性――ユウキに話を聞くと、驚愕に飛び退かれてしまう。そんなに驚くことかと苦笑してたが、文句をつけた手前か、ユウキも真面目に出張場の内装を見渡した。
「うーん、えっと――」
「ごめんください! ユウキちゃん――って、何してるの?」
「あ、レイン!」
「いいところに。助けてくれ」
店内の目立つ場所にやたらファンシーなステッキを置こうとしている俺たちに、扉を開けたレプラコーンの少女が、その真紅の髪の向こう側から怪訝そうな表情をしていた。そのメイド服を彷彿とされるドレスを着ながら、レインは首を傾げながら店内に入ってきた。
「リズにこっちにいるって聞いたんだけど……何してるの?」
「その……可愛くしようと思って」
「はい?」
俺の言葉を聞いたレインの『何言ってるんだコイツ』的な表情を、しばらく忘れることはないだろう。何せ自分自身で何を言っているか分からないのだから、今し方来た他人に説明しようが、分からないのは道理だろう。
「えっと、本店に比べて可愛くないなって……」
とはいえ何を言っているか分からないなりに、ユウキと身振り手振りを交えながら説明する。二号店としてこの出張・リズベット武具店を作ったはいいものの、ユウキから見ると可愛さ? が足りないということ。とはいえ、ネタ的な売り物であるファンシーなステッキを置いてみても、ただ違和感しか感じなかったこと。
「うーん……分かった、ような。分からないような」
微妙に釈然としないような表情を浮かべながらも、レインが同じレプラコーンの目線で、顎に手を置く名探偵の如き視線を内装に置く。その間に俺とユウキは、とりあえず配置してみたファンシーな何かを、特技である神速の動きで回収すると。
「んー……例えば、このカタナと細剣の場所入れ替えるとか」
「あ! なんか穏やかになった!」
相変わらず感覚的な物言いなユウキの言だったが、なんとなく俺にも伝わった。カタナの纏う精錬な気配が場所を入れ替えたことで消え、少し内装の雰囲気が柔らかくなったのだ。
「ここのカタナとかもかな。あとここも。それにこのカタナも、あ、あそこの……
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