第百八話
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として、呼びかけてるつもり――と、セブンの言葉はそこまでで。生き別れになった姉に呼びかけるために、様々なことに手を出して自分の存在をアピールする。このALOで行っている《クラウド・ブレイン》という実験も、その一環であると。
「さ、わたしの話は終わり。……ユウキは、どうしてこのゲームを遊んでるの?」
「ボクは……」
セブンは話し終わったと表現するように息をつくと、エギルに頼んでいたミルクを飲んで、今度はユウキが話す番だと促した。しかしてユウキは沈鬱そうな表情を見せていて、その視線は、机の上で湯気をたてる紅茶に注がれたまま動かない。
「……その。ごめんなさい、言いにくいことなら……」
「あ! その……そうじゃないよ! うん、ごめん」
そんな様子のユウキを見かねたセブンに、取り繕ったような笑みをユウキは返す。一応は俺も『大丈夫か?』と聞いてみたものの、大丈夫、大丈夫――とはぐらかされてしまう。
「ボクたちのギルドは、そろそろ事情があって解散しちゃうんだけど、その前にあの黒鉄宮にみんなの名前を刻みたいんだ。……セブンの目的に比べたら、何でもないことかもしれないけど」
「そんなことないわ。素敵じゃない」
ユウキたちの目的を聞いてはにかむようにセブンは笑っていると、出張・リズベット武具店の扉が強引に開かれた。そちらの方を見てみると、シャムロックの副リーダーこと、スメラギがいつもの仏頂面で立っていた。ただ立っているだけで威圧感を感じさせたが、本人は至って真面目に俺とエギルへ目礼する。
「失礼した。……セブン、時間だ」
「ええっ、もう? ……ねぇユウキ。あなたが気落ちした理由が、もしもわたしの邪魔をしちゃ悪いってことなら、余計なお世話なんだからね!」
どうやら迎えに来たらしいスメラギにせっつかれると、セブンは慌てながら時間を確認しながら、立ち上がってユウキに指を向けて宣言する。確かにセブンたちには目的があるけれど、それでユウキたちが諦めるのは論外だと。最初に言った、お互いに頑張ろうというセリフを忘れるな、と。
「いい? 破ったら絶交なんだから! ……あ、マスター、パフェ美味しかったわ! ショウキくんもまたね!」
そうして早口でまくしたてながら、セブンは走って店を出て行った。一瞬だけ見た店の外は、何やらプレイヤーでごった返しており――どうやらセブンのファンらしい――スメラギが入口で立って止めていたのか、それともファンの方に節度があるのか。
「……えへへ。怒られちゃったよ、ボク」
大変そうなアイドルに苦笑していると、ユウキもまた小さく笑みを浮かべていた。その笑顔は先程までの取り繕ったような笑みとは違う、心の底からのユウキらしい笑顔で。今度はすっかりぬるくなって
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