第百八話
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したの?」
「……何でもない」
そんなこちらの気持ちを知ることはなく、ユウキがパフェを平らげながら、首を傾げながらこちらに問いかけてきていた。苦々しげな表情で返していると、遠くから全てを悟っていたようにニヤリと笑うエギルと目があって、ヤケになってコーヒーを一気飲みしておく。
――思ったよりキチンと『友達』をしていて。つい先日の水泳の時ぐらいしか、まともに会ってはいないだろうに。
「……おかわり」
「ショウキくん……今の熱くなかった?」
口の中が燃焼ダメージを受けたようになりながら、エギルにもう一杯のおかわりを頼む。新たなコーヒーが俺の前に出現しながら、ガリガリと髪の毛を掻いて気分をリセットする。ひとまずは、ずっと気になっていたことを彼女たちに問おう。
「……真面目な話をする時は、口のクリームを拭いてからな」
『――!?』
揃ってガタッと音をたてながら立ち上がりつつ、驚いたように口を拭う二人の少女。エギル特製のクリームたっぷりなパフェが裏目に出たか。セブンが頬を少し朱に染めながらも咳払いして席に座ると、ユウキもそれに倣っておずおずと座り込む。
「……《クラウド・ブレイン》」
そうしているとセブンは何やら呟いた。その表情はアイドルのセブンでも、ゲームを楽しむ少女の姿でもなく、VR研究者としての表情で――もちろん、顔についたクリームは拭き取っていて。
「それがわたしたちのしてる実験の名前。危険なことにはならないつもりだけど、このALOを実験場として利用してるわけだから、プレイヤーのみんなには申し訳ないわ」
クラウド・ブレイン――もちろん門外漢な知識のため、名前だけ聞いてもまるで理解出来ないが。心の底から申し訳無さそうにしているセブンは、さらに自嘲するような笑みを見せて。
「二人は女兄弟っているかしら?」
「ああ、姉じゃないが従姉が一人。……ユウキ?」
女兄弟などと聞けば矛盾しているようだが、要するに姉か妹がいるかという質問に、あまり会うことはないが従姉という答えを返していると。隣に座っていたユウキの様子が妙だった。まるでログアウトしたかフリーズしたかのような、身動き一つ微動だにしない状態で。
「あっ……うん。ボクもお姉ちゃんが……いるよ」
「わたしも。……向こうは、覚えてるか分かんないけどね」
ようやく声を絞り出したようなユウキに怪訝な表情を見せながらも、セブンはそう語りながら小さく笑っていた。マスコミにも話してないんだから、オフレコよ――などと茶化しながら、セブンは言葉を続けていく。
「小さい時に離れ離れになっちゃって。でも、やっぱり会いたい……たった一人のお姉ちゃんだもの」
だから、こうしてアイドルとか実験とか目立つこ
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