第百八話
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いと感服しながら、ひとまず同じ席へと座る。
「エギル。俺にもコーヒー」
「パフェでもいいんだぜ?」
ふざけろ。愛嬌のある笑顔を見せながらコーヒーを運んできたマスターに、とりあえずそう返しておきながら。パフェのお供にミルクを飲むセブンが、ようやくユウキに本題を聞く。
「それで、お話って?」
「実は……ボクたちも、この浮遊城を攻略しようと思うんだ」
言いにくそうにユウキはそう語ると、蚊帳の外だった俺もようやく、ユウキが何を語ろうとしていたのか悟る。迷宮区を攻略しているシャムロックに、そのリーダーであるセブンへの……宣戦布告。
「それなら……一緒に攻略すればいいんじゃないの?」
「ううん。ボクたちは、あの黒鉄宮に名前を刻みたいんだ」
怪訝な表情を隠さなかったセブンだったが、ユウキがそう語ったら得心が言ったように頷いた。黒鉄宮に全員の名前を刻むためには、ユウキたちのみで攻略する必要がある――この時点で、セブンが率いるシャムロックとは相容れないのだ。
「VR博士だっていうセブンが攻略してるんだから、きっと何か凄い目的があるんだろうけど……ボクたちも、どうしてもあの黒鉄宮に名前を刻みたいんだ」
「なるほどね……わざわざ言ってくるなんて、真面目なんだから」
「セブンの目的ってのは何なんだ。どっちも解決する術があるかも……」
いや、宣戦布告――というよりは、友人として言わずにはいられなかったというべきか。流石にパフェを食べる手も止まり、困ったようにセブンは笑う。そんな姿を見せる二人を見ていられずに、どうにか妥協案を見つけようと、話に割って入るものの。
「無理ね。わたしたちシャムロックの目的は、わたしたちによる浮遊城の攻略だもの」
とはいえそんな俺の質問は、他でもないセブンによってすげもなく否定された。そのままセブンの言葉は続いていく。
「……といっても国家プロジェクトとかじゃなくて、あくまでわたしの趣味な扱いだけどね。でも、ユウキたちに目的があるように、わたしにも目的はある」
「そう……だよね」
妥協案は全くというほど見つけられず、結局はシャムロックへの宣戦布告で終わる。せっかく友達になった二人だというのに、と俺が痛ましい気持ちをしながら見ていると――どちらからともなく、お互いに腕を突きだしていた。
「どっちも頑張りましょう?」
「うん! ボクたちだって負けないんだから!」
がっしりと握手してお互いの健闘を祈る二人の姿に――慌てていたのは、俺一人だったということを悟る。喧嘩になるとか険悪になるとか、俺が危惧しているようなことは一切なく、再び嬉しそうにパフェを食べ始める少女たちに、ただの心配性の杞憂だったと思い知らされる。
「どう
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