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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
第119話
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そうですし。」

「リィン君……うん、いいよ。」

リィンの問いかけに頷いたトワはずっと顔を俯かせていた。



「……その、会長。もし何か悩んでいるんだったら何でも言って下さい。」

「え……」

「会長には、士官学院でもカレイジャスでも本当にお世話になっています。年下の俺なんかじゃ頼りにならないかもしれないけど……もし、何か一つでも力になれることがあるなら恩返しをさせてもらいたいんです。」

「リィン君……えへへ、ありがとう。」

リィンの心遣いに感謝したトワはやがて本音を口にした。



「今更だけど……ちょっと自信が無くなっちゃったんだ。カレイジャスの艦長代理を引き受けた事に。」

「え……?」

「確かにアルバレア公爵夫妻をメンフィルに引き渡して、メンフィル帝国軍がエレボニア帝国に攻め入る時間を稼ぐ事はできた。でも、それで焼き討ちにあったケルディックの人達の傷が癒えるわけじゃないんだよね。幸い犠牲になった人はいなかったけど、それでも実際に傷を負った人達はいるんだし……」

「それは……」

トワの言葉を聞いたリィンはかける言葉がなく、複雑そうな表情をした。



「双龍橋でフィオナさんが人質になったときも……ルーレでアンちゃんが大変だったときも。わたしは結局、待っている事しかできなかった。でも、カレイジャスがあればきっと、もっと”何か”ができたんじゃないかって思うんだ。もし子爵閣下が艦長だったら……わたし以外の誰かが艦長代理を引き受けていたらって。」

「トワ会長……」

「えへへ……ゴメンね。こんな弱音を吐いちゃって。強くなろうって誓ったのに、全然ダメだね……わたし。こんなのじゃ、艦長代理失格かもしれない……」

「………………」

弱音を吐いて頭を俯かせたトワをリィンがジッと見つめたその時突如風が吹き、トワが持っている艦長帽が飛ばされた。



「あっ……」

「っと。」

風に飛ばされた艦長帽を遠くに飛ばされる前に手に取れたリィンはトワに近づいた。

「リィン君……?」

「失格だなんて……そんなことあるはずがないじゃないですか。カレイジャスの今の艦長は、トワ会長以外に考えられません。」

「で、でも……」

「俺達は士官学院生とはいえ、いまだ未熟な学生です。”光の剣匠”や皇子殿下、機甲師団の方達やメンフィル帝国のような肩書きも強さも持っていない。でも……そんな中でトワ会長は”艦長代理”という重要な責任を立派に引き受けてくれている。小さな体で、それでも自分の役割を果たそうと陰で必死に努力してくれている。だから俺達も頑張れる………強くなろうと思えるんです。」

「あ……」

そしてリィンはトワの頭に艦長帽を被せた。



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