第54話 天草四朗という者
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龍馬はにやりと微笑んだ。
「まぁ、そんなことができるのなら見てみたいものだがね」
良順はあきれるように首を左右に振った。
「もしかすると、見れるやもしれんぜよ。ですが、先生はまだ幕府の御殿医ですろ?ここから早く出て行ったほうがいいぜよ」
「何故かね?沖田君は私の患者だ。患者を置いて出ていくわけにはいかんだろう?」
良順は強い口調で言った。
「実は、わしは勝先生の使いでもなんでもないぜよ。武市半平太の命でここにきたんですき」
「き、君は・・・」
龍馬の言葉に良順は絶句した。
「ですけ、先生。先生は、この場を去ったほうが身のためぜよ。彼らの企みを察する事が先生のお話で参考になりました」
龍馬は良順に深く頭を下げた。
「ちょっと待て、坂本君。彼らに企みといっても徳川はすでに死に体だ。一体、彼らは何を一体何をたくらんでいるというんだ?」
良順も話が少し飲み込んできていた。そして、とてつもないことを想像して身が震えた。
「そいえば、先生。沖田君は元気なんですやろ?」
龍馬は良順の問いを気にすることなく、沖田の居場所を聞いた。
「坂本君、残念ならが沖田君も最早死に体だ。ここに来たときは、もはや肺病が進行していた」
良順は眼を伏せた。
「そうですか。先生、沖田君に会ってもいいかの?」
「そうだな、会ってやってくれ」
良順は少し考えて龍馬に言った。そして、良順、龍馬、連れてきた女の順で沖田の療養している部屋と向かって歩き出した。
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