第二十一話 匂い
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ある。
攻略組から見たとしても、若干、とは言いづらく、かなり異様な会合だ。
このものすごく、いろんな意味で周りの目を引く空間がどのように終わりを告げるのか。野次馬たちがチラチラと視線を送っていると、ひとりが動いた。
「それで………リュウヤはなんでここにいるの?」
困惑が抜けきらない中、質問したのはアスナだった。
「ふつうに買いもんだけど………おやぁ? そっちはどうなすったんで?」
受け答えて、彼らの様子に気づいたリュウヤはニヤニヤする笑みを隠そうともせずに問いかける。
「うっ………その………なんていうか……食事を……」
「ん〜? おやおやぁ? よく聞き取れませんなぁ?」
「お……おい、アスナ。言わなくていいから……」
「し、食事よ! ちょっとしたお礼です! 何か問題でも!?」
キリトの制止も聞かず、リュウヤの腹立たしい笑みに反抗するようにアスナはキレ気味に答えた。
だがそれはあまりにも逆効果過ぎて、キリトは頭を抱えたくなった。
「へぇ〜、へぇ〜〜? ほぅほぅ、なるほどそういうことですかぁ〜」
「な……なによ」
「いやはや別になんでもございませんで。ほれ、そこなキリトくん。ちょいとこっちをお向きなさい?」
リュウヤのしたり顔に警戒するアスナだが、それは空ぶりに終わり、口撃の矢はそっぽを向いていた少年に向けられた。
「……なんでしょうリュウヤさん」
「おいおい〜、別に敬語じゃなくていいってば。俺とお前の仲だろう? あ、それとも、なにかやましいことでもあるなかなぁ?」
「と、特に思い当たる節はないな……」
「おやおや、ほんとにそうですかなぁ? そういえば話が飛びますけどね? つい数時間前にわたくし何かを言ったような気がするんですが、覚えてらっしゃいます?」
「まったく話飛んでないし、絶対分かってて言ってるだろ!」
「はて、なんのことだか。キリトさんは〜分かってらっしゃるんでしょうねぇ、その言いぶりだと」
「ぐっ……」
墓穴を掘ったキリトに遠回しかつ容赦なく口撃するリュウヤ。
キリトは子ども心に、一種の反抗期的な精神によって認めたくないのだ。
リュウヤに言われた「アスナにおごってもらえ」という助言。結果的にとはいえあれに従っていることを絶対に認めたくなかった。
理由は当然、リュウヤに操られたようで腹立たしいからである。
リュウヤはそれを分かっていてイジっているのだが、引き際は心得ているのかキリトいじりはソコソコにして手を引いた。
「まあこんなところでいっか。楽しかったし」
「「こっちは全然楽しくないっ!」」
キリトとアスナが息をそろえたかのように
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