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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第二十一話 匂い
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、メシおごっただけで命を守ってもらった借りがチャラになるなら儲けもんだろ?」

「う〜ん………でも恩の押し売りみたいでイヤだな。なんにせよ寝ろって言ったのおれだし、最後まで面倒みるべきじゃないか?」

「ん〜、律儀っつうか、頑固っつうか………頭硬いなぁ」

「ははっ。結構柔い方だと思うけど、過信だったかな」

やれやれとリュウヤは苦笑するのを見て、キリトは肩をすくめておどけてみせた。
「おどける」とはいえ、少し自嘲も含んだキリトの表情はリュウヤの苦笑を、謙遜に対する敬意を買うものだった。

「これでも褒めたつもりなんだぜ? 実直な男だっつってな」

「わかりにくい褒め方だな」

「気に入らないか?」

「いや、褒めてくれるのは素直に嬉しいさ」

「含みのある言い方で」

「誰かさんほどじゃないさ」

キリトはニヤリと笑い得意満面といった様子でリュウヤを見上げる。
だが惜しい。その「一本取ったぜ」みたいなドヤ顔が、リュウヤのプライド(笑)を刺激した。

「だったらそんないい男ことキリトくんは引き続き《閃光》さまの警護を起きるまで続けますよね〜? んじゃがんばれってことで、俺は帰る」

「ええっ!? ちょ、なんか食べ物くれよ!」

「ハッハッハ。だったらさっきも言ったように、そこでグースカ寝てるお嬢さまにでもおごってもらえ」

「そ、そんなぁ〜」

ドヤ顔から一転して悲壮な面構えに変わったところで、リュウヤは満足げに帰途へと足を向けた。

キリトへの嫌がらせという点もなきにしもあらずなのだが、そろそろ帰らないと眠り姫が起きてきてしまう。
どうせ彼女のことだ。一応の分別はあれど、寝顔を見た男に制裁を加えることは間違いない。

そんなものに巻き込まれるのはゴメンだというリュウヤはキリトに背を向けた。

本当に帰る気であるのを悟ったキリトは今日一番の落胆する表情を見せ、リュウヤを見送った。

だが、そのまま帰ると思っていたリュウヤがふと思いついたように口にした。

「ーーーあ、そうそう」

帰る足をピタリと止め、

「あといっこ、言い忘れてた」

首だけをひねってキリトを見やり、

「お前さぁーーー」

言った。



「ツメが甘いなぁ」



「ーーーッ」

彼の表情に映し出される感情はなかった。
ただ事実を伝えただけ。もっと言えば“助言”でもあったそれは、キリトの胸に衝撃という槍を突き刺した。

突き刺し、突き穿ち、突き抉った。

その槍には毒が仕込まれていて、キリトの身体を徐々に蝕んでいく。
キリトはその毒に耐えるように震える右手を左手で押さえた。

彼の一言でキリトは理解したのだ。
それはキリトの据
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