第35話 変化の術
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のが一目瞭然だった。
「そこまでやるのかよ」
首を回しながら、サソリ初春が軽く舌打ちをした。
「やさぐれている初春も新鮮で良いわね」
「やるか......」
スッと目を瞑り、咳払いをすると
「佐天さん!心配したんですよ!」
腕を前に持ってきて、健気に心配する初春を完璧にマネした。
立ち振る舞いや少しだけ涙を溜めた眼。
頭に咲き誇る花々達。
弱々しい足腰。
「う、初春だ......もう一人の初春が居る」
「か、軽く変態の領域ですわね」
「うわあ、引くわ」
「お前らがやれって言ったんだろ......たく」
腕を組みながらベッドに戻るサソリ。
「じゃあ、お礼のクッキーをどうぞ」
「ああ」
変化の術を解いて、佐天からクッキーを貰い小動物のように静かに食べ始める。
「なんか、上手く芸が出来て餌を貰うアシカみたいですね」
初春が思い付いたように呟く。
「「ぷくく」」
御坂と白井がツボに入ったらしく、壁や床に手を置いて笑いを堪えて震えていた。
「......ヒドイ事言うな初春!さ、サソリだって頑張ってくれたんだから」
佐天がサソリの前で勇ましく言うが佐天は自分のお腹をつねって必死に笑意を抑え込んでいる。
「ぷっ!ハハハ!ごめん、ちょっとタンマだわ。初春が的確すぎて」
「ちっ......」
笑いが抑えきれなくなり、三人で吹き出しで爆笑を始めた。
サソリはため息を吐きながら、舌打ちをした。
「はあはあ、久しぶりに爆笑したわ」
興奮冷めやらぬままに、御坂が笑い過ぎて出た涙を拭き取る。
「へ、変化の術だっけ......くくく。御坂さんはどうでした?」
笑い過ぎて腹筋を痛めた佐天がお腹を摩りながら、サソリのベッドに脇に腰掛けた。
「うーん、あたしからすると黒子の方が完成度が高かった気がするわね」
「やらんぞ」
予期したサソリが若干、語気を強めて釘を刺した。
「変化の術って......服の下ってどうなってますの?」
白井が手を上げて質問をした。
「んー、術者の想像力だな。変化の術を完璧にするなら事前に隅々まで見ないとバレる」
「バレる?誰に?」
「敵にだ!潜入する時に使う術だから」
「宴会芸じゃないんだ」
「お前ら......この術は家族や親しい友人しか知らない身体の特徴を把握しないと完璧に化けることができないからな。わりと本格的に使いこなすなら根気がいるぞ」
クッキーを口に入れる。
サクサクとした感触に、甘味と苦味が中から口いっぱいに広がる。
なかなかだ
料理をあまりしてこなかったサソリは、珍しそうに袋に入ったクッキーを手に取って眺めた。
佐天も袋からクッキーを取り出して、食べ始める。
「じゃあ、サソリは、初春や白井さんの身体を想像して変化
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