第35話 変化の術
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容赦致しませんわよ」
白井が妙に凄みのある声で佐天を牽制した。
「し、ししししませんよ!そそそそんな事なんて」
ジーと目を見る白井。何か探り、抉り出そうとしているように。
「た、たぶん......その、絶対」
「良い心掛けですわ」
獲物を狙う目つきから打って変わり、にこやかな笑顔を見せた。
「はあ、白井さん怖かった......そうだみんなにクッキーを焼いてきたんだった。良かったら食べます?」
佐天は、カバンの中から手作りのクッキーを取り出して、みんなに見せる。
「レベルアッパーの時に迷惑かけちゃいましたから......そのお礼も兼ねてです!どうぞ」
高価な物じゃないけど、これくらいの事はしないとね
迷惑を掛けたのあたしだし
あ、そうだ!
佐天が差し出した、クッキーの袋から御坂がクッキーを取り出した。
「あら、悪いわね。ごちそうさま。うわ、チョコチップ入りだわ。料理上手なのね」
「いや〜」
照れたように頭を掻く佐天。
「いただきますわ」
「ありがとうございます」
白井と初春も手を伸ばして口に入れていく。
「美味しいですわ。程よい甘味とチョコの苦味が良いハーモニーを」
三人がそれぞれ舌鼓を打つ中でサソリだけが、首を傾げて腕組みをしていた。
「クッキー?」
「そこからか!?食べてみれば分かるわよ」
「そうか」
サソリが袋に手を伸ばそうとすると佐天がさっとクッキーを引っ込めた。
「?」
「ごめんね、サソリにはちょっとやって欲しいことがあるかな」
クッキーを胸の前に掲げて、謝るように作り笑顔をする。
「やって欲しい?」
「お願い女装して!」
............
「は?女装?」
サソリが怪訝そうに眉をひそめた。
「さ、佐天さん?!」
「だってみんな見ているのにあたしだけ見てないなんてやだもん。やってくれたら一杯食べさせてあげるから」
「ど、どういうことですの?」
「あー、前にサソリが黒子になった話をしたからね」
「変化の術の事か」
サソリが用意されているかき氷シロップのボトルを手に取る。
青色のもの凄い蛍光ブルーのシロップだ。
ブルーハワイ味
何でこいつら、こんな得体の知れないものを平気で飲むんだ?
「へっへ?私にですの?」
白井に取っても初耳だ。
キョロキョロとサソリと三人を見比べる。
「いやー、アレは似てたわね」
御坂が指に付いたクッキーのカスを舐め取りながら思い出すように言った。
「も、もしかしまして......前に初春に成った話と同じですの?」
「う、初春にも化けたの?」
佐天が驚愕したように初春の肩を掴んで揺さぶる。
「はわわ、はいそんな事もありました」
白井の時と同じ状況にデジャブを感じる。
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