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歌集「春雪花」
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 逢えぬ間は

  想いつのりて

   恋焦がる

 御簾を降ろせし

    月を眺むる



 会えない間ずっと…彼への想いは募る一方…。
 淋しさや哀しみが寄せては返す夜更けには、彼に恋焦がれる…。

 見上げた月は朧月…。
 まるで御簾の向こうにあるようで、遠い彼に思いを馳せる…。

 私のことなど考えてもいない彼を想い…ただ静かに眺める…。



 夏草の

  匂いを纏ふ

   微風も

 逢うもなきにし

    君を忘れじ



 夏草の香りを運んでくる風…もう春も過ぎ、梅雨の時季へとかわりつつある五月の終わり…。

 彼がここから発ってから一年以上経つが…忘れようとも忘れることなぞ出来ず、彼を想わぬ日はない…。


 きっと…この夏草香る微風さえ、彼を忘れてないに違いない…。





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