第10夜 触発
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クだ。こんな所で再会できるとは思わなかったよ。俺とアンタ、何か縁があるのかもな」
「ああ、まったく。このような奇縁は大切にしたいものだ」
ドレッドという男は恐らく誰にでもこうして接するのだろう。自然体で他人を尊重することが出来る、欠落持ちの中では政治や指導者に向いている性格だ。ただし、この手の人間には近くに必ず厄介な人が潜んでいる。この手の『欠落』持ちは、得てして誰も受け入れられないほど尖った『欠落』を持つ人間も受け入れてしまう。
それが証拠に、彼の後ろにいた二人の仲間の瞳にはトレックに対する敵意にも似た感情が垣間見えた。友達に慣れるのは有り難いが、代わりに二人の人間に嫌われそうだ。トレックはそっと気付かぬふりをして本題に入る。
「それで……態々俺に話しかけてきたのは何も挨拶の為だけじゃないんだろう?」
「無論だ。実は、より確実にこの試験を突破するための協力者を探していてね……そんな折、仲睦まじそうな君達が眼に入った。試験に過剰な緊張も抱いていないし人数も丁度いいと考え、誘わせてもらった」
よくは分からないが、どうやら俺達は彼のお眼鏡に適ったらしい。というかギルティーネとは仲がいい悪い以前の関係なのだが、確かにこの試験中に呑気に髪を梳かし合っていたらそうも見えるだろう。内心で少しばかりの羞恥を感じるが、今は気にしないことにする。
「それで、この状況で何を協力するんだ?」
「簡単なことだよ――二つのチームで徒党を組んで移動しようという誘いだ」
「なんだって?」
トレックは少々驚いた。以前にも語った通り、この試験はチーム参加が原則だ。そしてチームとは『欠落』の決める運命的な相性が合致してこそ最大の効率を発揮する。下手に数を合わせるだけでは、強くなるどころか互いが互いの個性を相殺して戦いにくくもなってしまう。そんな状況下で、しかもチーム行動が原則であるこの試験で徒党を組もうというのは逆に効率の悪い話に思えた。
ドレッドは直ぐにトレックの疑惑を察し、説明する。
「確かに完全に徒党を組んで集団行動すれば互いの個性を潰し合い、隊としての機動力も下がるだろう。だが、ある程度の距離を保ったまま並んで進めば、前方や後方で敵が現れた際に回り込んでの援護が可能………複数の呪法師チームが活動する際にはよく使われる手だよ。助けが必要な時だけ助けてもらえばいい」
「それは知ってる。だけど片方が戦闘をしている間、もう片方は足止めを喰うだろう?時間の無駄なロスになるぞ」
「多少時間は伸びてもいいさ。最終的に、確実にゴールに辿り着ければいい。二つのチームで活動すれば、仮に上位種の呪獣が来た際にすぐさまもう片方がフォローに迎える。そして素早いフォローを行う為にはなるだけ少人数のチーム……理想ではタッグチームが望ましい」
確か
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