第6夜 篝火
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。成績に問題がないと言っていたので、当然使いこなせると見て良いだろう。
剣の柄には歯車のような見たことのない機構が取り付けられているが、あれにも何か理由があるのだろう。彼女は『鉄の都』にいたのだというから、あちらの最新モデルなのかもしれない。
剣を装備した彼女は、それ以上の武器は持っていないのか、ケースを放り出して再び停止した。
どうしたのか、と咄嗟に聞こうとするが、そういえば自分は彼女の管理を任された存在だ。その事は恐らく彼女も知っているのだろう。つまり、彼女はトレックが指示するのを待っているという事なのだろう。
これから、戦いの中でも彼女はこちらに言葉を発することが出来ない。だから、指示を出すとしたら全てトレックが出さなければならないことになる。彼女を生かすも殺すも自分次第。合格できるかどうかも自分がそれだけ彼女を導けるのかに掛かっていることになる。
想像以上の重圧に歯を食いしばったトレックは、覚悟を決めた。
「準備はいいみたいだし……行こうか、ギルティーネさん。試験時間に遅れて失格じゃあ笑い話にもならない」
「…………………」
「俺の指示には、従ってくれよな」
トレックがそう告げて歩き出すと、彼女は無言でその斜め後ろを着いてきた。
自分で自分の高圧的な態度が嫌になる。それでも、罪人である彼女の手綱を引けなければトレック達に待っているのは死だ。
(誰かの都合だけで結成された、信頼の『欠落』した相棒……か)
彼女は今、何を思うのだろう。名前で呼ばれることに不快感を感じているのか、命令される立場に甘んじることに苛立ちを覚えているのか、或いは何も現状に疑問を抱いていないのか。
人間なら言葉にして確認が取れるようなそれを、彼女からだけは確認することが出来なかった。
= =
呪法師とカンテラは切っても切れない関係にある。
古来より光を嫌う呪獣を追い払う有用な手段として扱われていたカンテラは、現在でも呪法師の行動には欠かせない代物だ。光を周辺に拡散するための構造。光源に使用する燃料。呪法の触媒にもなる熱。どれをとっても呪獣と戦う上では欠かせない要素だ。
しかし、同時に手でぶら下げるタイプのカンテラは、戦いに於いて臨機応変な対応をするには邪魔な代物だ。故に先人は昔から様々なカンテラを開発してきた。一時期はヘルメットの上に設置するという間抜けな運用法の時代もあったし、数十年前までは光杖のように杖の形にすることでより高所から照らす方法が主流だったが、そのせいでメンバーの一人に固定砲台の役割を押し付ける結果になってきた。
しかし、この問題に終止符を打つ存在が登場した。
「頼んだぞ、ジャック。しっかり照らしてくれよ……
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