序章
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ネ選手を下し、真選手、ついに初優勝―――!」
画面にK.Oと文字が出た直後、爆発寸前だった熱気がついにはじけた
「―――!!」
鼓膜が破れそうになるほどの大歓声が湧き上がり、観客の中には抱き合う者や涙を流しながら興奮の声を上げた。
アリーナの最前席にいたチームメイト達は壇上に駆け上り、両手を振り上げ天井を仰いだ鬼一に近寄る。
それに気づいた鬼一はチームメイトに飛び込み喜びの声を上げた。
2日後、数多くの新聞にe-Sports最大規模の戦いがニュースとして取り上げられた。
そこには1人の少年が満面の笑みで自身の胴体ほどのあるトロフィーを掲げている姿があった。
e-sportsの世界。
それは今の世界では独特の世界である。
数年前に女性にしか反応しない世界最強の兵器、インフィニット・ストラトス(通称IS)が出現し、男女の社会的パワーバランスが一変し、女尊男卑が当たり前になってしまった時代。
だが、この世界ではそんなものは微塵も関係なかった。
男も女も関係なしに、ただひたすらにゲームが好きな、もしくは特別なものだと言える人間が多く集まり形成される。20年近く前に日本から初のプロゲーマーが生まれ、少しずつだが、確実に成長を果たしたこの世界。
年々競技人口が増え、多数のスポンサーがつくことで賞金も高額化することでさらに多数のプロが生まれた。
いまでは総勢1000名以上のプロゲーマーが日夜精進している。
e-sportsの先進国である米国などでは専用のプロリーグが開催され、そこのトップに立てば他のスポーツのトップアスリートと同じくらいに人気がある。
日本でも米国ほどではないが、一般的に普及してきておりよくTVで放送されたりニュースで大々的に取り上げられている。
子供達の将来の夢にも挙げられるほど人気のある職種になっていた。
そしてそのe-Sportsの頂点に立った14歳の少年は、この世界に救ってもらったことがある。
12歳でプロの世界に飛び込み、同世代では到底理解できないほどの熾烈な競争を勝ち抜いた。
そこには言葉にできないほどの辛さや苦しさがあった。時には心無い人間に暴力を振るわれたこともあった。
それでも沢山の人に助けてもらい、支えてもらい、前を進み続けた。
これからもこの世界で生きていき、このコミュニティを盛り上げゲームを通じて沢山の人を自分のように救いたいと、そう、思っていた。
そして、その夢は、もう、叶えることはできないとも知った。
IS適正 C-
そんな無機質な文字列を見た瞬間に、理解してしまった。
自分はもう、この世界に戻れないことを。
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