序章
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り締め、大観衆の熱気にも劣らないマイク越しの実況が会場に響き轟く。
英語の実況者の両隣には10人を超える人たちがそれぞれの国の言葉で世界に向けて発信する。
「日本格闘ゲーム界の至宝こと藤原選手を、そして今大会優勝候補であるアメリカの英雄ジェスティン選手をそれぞれ倒して上がり、今! 2人のプロゲーマーが最終ラウンドに臨みます!」
実況に応えるかのように会場の熱気はさらに膨れ上がり、今か今かと待っていた。
新たな世界王者が生まれるのを。
「世界最強女性プロゲーマーアヤネ選手はここまで無敗で勝ち上がり、そして世界最年少わずか12歳で、チームアークキャッツとスポンサード契約を結んだ月夜 鬼一選手がルーザーズから這い上がってきました!」
12歳でプロになり、勝利して、敗北を何度も繰り返して這い上がり、世界最大の大会に現14歳のプロゲーマーはここまでこぎつけたファイナルラウンドに決して浮かれることなく集中していた。
周りの熱気や大歓声に少しも心乱さず、強い視線を画面に向けている。
戦いが始まった。
「ファイナルラウンドが幕を開けました! ……まずは静かな立ち上がり、ここまで堅実な立ち回りを見せたアヤネ選手、そして圧倒的な攻撃力で巻き返しを見せてる鬼一選手」
画面上ではそれぞれのキャラは様子見を繰り返し、牽制のために技を置いて安易に動かせないようにする。
「さあ、それぞれの動きは散々対策を施し、理解しているでしょう。ここまで来たらどれだけ強い気持ちを持てるか……。制限時間は残り60秒」
ここまでは互いに細かくダメージを稼ぎ、お互いの体力ゲージは6割前後。
「っと、ここでアヤネ選手がついに飛びを通したぁっ!」
限りなく五分に近い状況からアヤネの操るキャラがついに、真のキャラの攻撃を避けながら上から攻撃をかぶせる。
ついに試合が大きく動き、観客が歓声が上げる。
―――……っ!
歯が砕けるのではないかと錯覚するほどの力で食いしばる。画面内の出来事を少しも見逃さないと言わんばかりに凝視。
半分残っていたゲージがみるみる削られ、僅か数秒で残り1割以下まで削られた。
「さあ鬼一選手! 一気に追い込まれた! アヤネ選手の優勝が濃厚かぁ!」
アヤネのキャラの起き攻めを凌ぎ、再度ジリジリした差し合いになる。が、隙と言えないような隙に対して真のキャラがアヤネのキャラに触れた。
―――ここだ!
「巡ってきたワンチャンス! 鬼一選手が最後の猛攻! ひっくり返せるか!」
アヤネのキャラの体力がどんどん削られ、そして。
「最大コンっ! しっかり完走し、ひっくり返した―――! これが、これが鬼と恐れられる男の底力です! アヤ
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