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メン・タンク・マッチ:MTM
初動編
MTM:初動編 第2話「迷道(まよいみち)」
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夕日が沈む頃、町では学校帰りの学生達や仕事帰りに買い物帰りの大人達が帰宅している。
そんな町中にある喫茶店[可華蜜(かげみつ)]の店内で、二人の客がテーブルを挟んで会話をしていた。
「すいません、錦さん。俺、耳が悪い訳ではないですけど、よく聞こえなかったみたいです。もう一度いいですか?」
天桐は錦から聞かれた質問を聞き違えたと思い再度聞いてみた。
「戦車の試合に出てみないかね?」
錦は、天桐に再度質問をした。
質問の内容はさっき聞こえたのと同じで間違いではない。
だが天桐は、その質問内容を理解した上で少し顔色を変えた。
「こんなこと言うのも何ですが、錦さん。からかわないで下さいよ」
天桐は少し作り笑いをして錦が冗談を言ったと受け取ったと伝える。
「冗談ではないよ、天桐君」
錦はそう平然と答え、コーヒーを飲んだ。
天桐は、錦が冗談ではないと言ったことで余計に気分が変わり口が少しきつくなった。
「言っていることがよく分からないんですが、戦車道は女性がするものですよ。俺は、見ての通り男です。」
「確かに、君の言う通り戦車道は女性がやる伝統のものだ」
そう言うと、残ったコーヒーを全て飲み干し、手を上げて顔を店員に向けて呼んだ。
「はい」
「すいません、コーヒーのおかわりを」
「はい、ただ今お持ちします」
店員が行くと錦は、顔の向きを天桐に戻し、
「だが、仮に男性でも戦車道を、戦車で試合を出来るとしたらどう思う?」
「どう思うって・・・言われても」
またそんなことを突然聞かれたせいか、少しだけ答えるのを悩んだ。それだけでない、今の自分の本心は、どうなのだろうかと、自分自身分かっていないのもある。戦車道に興味が出た。だが、女性しか戦車道をしない。だから、戦車道は自分に関係のない話。それなのに、戦車道を男性が出来たらどう思うのかを聞かれたことで、少し混乱したのかもしれない。
「お待たせしました」
店員がおかわりのコーヒーをテーブルに置き、帰って行くと天桐は口を開いた。
「それは、凄いことなのかもしれません。女性しかしていなかった戦車道を男性もやることは。ずっと、男が戦車に乗るのは昔在った戦争か自衛隊や軍位しかやらないと思ってましたから」
本音を少しだけ交えてそう答える。
「だろ、私もそう思う」
錦はおかわりのコーヒーを飲みながらそれだけを答える。だが、先ほどの質問がよく理解出来てないのに変わりがない天桐は錦に問う。
「それで、さっきの質問はどういう意味ですか?」
天桐には、少しは察しが出来ていた。だが、それはにわかに信じ難かったため、それを確認したかった。
錦は少し笑みを浮かべ
「実は今、戦車道関係で面白い計画があってね」
「面白い計画?」
「余り公にはまだ出来ないのだが、その計画では男性を募集している。
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