初動編
MTM:初動編 第1話「道導(みちしるべ)」
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
殴った方は拳を引いて少し笑った。
余りよろしくないこの状況で天桐は突然、
「・・・よし、これで一応は正当防衛になるのかな?」
と独り言を言い出した。その天桐の言葉に、
「は?」
理解出来なかったのか一瞬の隙が出来た。
「フン」
天桐はその瞬間、そのヤンキーと同じように腹に拳を打ち込んだ。
「ウ、グヘッ」
今度はヤンキーの方が膝を付いて地面に内容物を吐いたのだ。それを見た仲間の二人は驚いたのか顔色が変わった。
「よしお前ら、やるか」
威嚇すると残りの二人は少し後退る。
「さっさとこいつ連れてどっか行け」
天桐の言葉を聞いた二人は慌てて吐いている仲間を立たせて消えていった。
「大丈夫かおっさん?」
天桐は蹲った中年男性に声を掛けり。
「あ、あぁ大丈夫だ」
中年男性はそう返事をしたが立つが難しそうだったのを見て天桐は肩を貸して立たせて上げた。
「いや、すまなかったね。私を助けるために、怪我をさせてしまって」
とお礼をいった。
「いえ。」
「是非、礼がしたい名前いいかな?」
中年男性は名前を聞いてきた。
「いや、いいすっよ。別に大したことじゃないですし。じゃあ、俺行くで」
だが、面倒なのでその場からさっさと立ち去った。
あれから天桐は家に向かって帰っていた。
「くそー、まだ痛ー」
そう言いながら腹をさする。
(にしても、油断してくれてよかった。あのまま、他の奴も加勢されたら負けてたな。)
そう考えているとアパートの側まで来て、突然止まり出した。
何かを思い出した。
「あ、晩飯何も買ってねぇ」
自分がコンビニへ晩飯を買いに行ったことを、さっきの騒ぎですっかり忘れてしまっていたのだ。
コンビニに戻ろうと反転しようとするが、
「ハアー、もういいわ。どうせ金がほとんどねーし。家に帰って適当に食うか」
諦めて自宅に帰った。
翌日、学校に登校した天桐は一時間目二時間目と授業を受けた。午前中の授業が終わり昼食の時間になったので、矢元と城ノ崎と共に学食に向かった。
昼飯を買った三人は、空いているテーブルに付き談笑を交えて飯を食べ始めた。
「それでよ、バイトの後輩の彼女が」
矢元がバイト仲間の話をして
「それは大変だね」
城ノ崎は感想を述べると、
「へぇー。」
だが天桐は少し乗る気がない返事をした。
「士良、どうした?」
矢元が不信に思ったのか天桐に聞いた。
「え?」
「お前、今日元気なくね」
「そうだね。なんか昨日変なことでもあったの?」
「いや、別に。大丈夫だって、すまんな心配かけて」
と心配する二人を安心させようとそう言った。
放課後、城ノ崎の提案で三人は本屋に寄った。
矢元は音楽関係の雑誌を城ノ崎は大学試験に関する勉強本があるコーナーで立ち読み
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ