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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第34話 ミサカ
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覚が喪われていく。
死ぬこと
事前の知識からは解らないことだった。

それだけは......嬉しい
機能停止すれば実験成功
役に立つということが嬉しい......?

実験か円滑に進むということは、それだけミサカ(私)が役に立つ(死ぬ)こと。
膨大な『死』のデータを頭に叩き込まれる私にある記号が浮かぶ。

九九八二

今は意味が......解らない。

******

ゴポ ゴポ ゴポポ
学園都市内某研究所に一人の命が軽々しく機械的な産声をあげた。
微睡む目に二つの動く物体があり、首を動かして懸命に動く液体の中で目を凝らす。
「んじゃ、今後のために説明しとくわね」
「よろしくお願いします」
片方はバンダナを頭に巻き、もう一方はバスタオルを抱えている。

「これが実験体として適した状態まで成長させたヤツ。受精卵から一四日間でこうなるわ」
ボタンが押され、液体が抜けていく。
滲んでいた輪郭が詳細に解る。
同時に身体が重くなっていくのも感じた。

「うわー、本物の人間みたいですね」
「そりゃそうよ。そういう風に造られた複製だもの」
初めてみる外の世界に恐怖しかなく、キョドキョドと辺りを見渡すと涙を溜めて泣き出す。

何ココ?
怖い
戻りたい
あの暖かい中に帰りたい
濡れた身体が気持ち悪い

「でも見ての通り、この状態じゃ、精神年齢は新生児並。言葉も理解できないし自力で歩く事すらできないわ」

眼鏡を掛けたもう一人の女性が持っていたバスタオルで濡れた身体を拭いていく。
中身は新生児並だが、見た目は十四歳の女の子の身体だ。
何よりごく普通の人間と変わらない姿をしている。
「何してるの?」
「いや、このままじゃカゼ引いちゃうかなと」

「イチイチそんな事やってらんないわよ。一気に最後まで造るらしいし」

「それ、私も聞いてますけど効率悪くないですか?調整を繰り返さないとあまり保たないんですよね」

「上には上の考えがあるんでしょ。私達は命令通りに進めるだけよ」

「?」
さきほどから、何か音を発しているが何で発しているのか理解できない。


ギュルギュルギュイイイイン
何を吸い込んでいるような音が機械から漏れていく。
今度は、別のカプセルに寝かされて頭にヘッドギアを付けられると膨大な数の知識や経験が圧縮されて入力されていく。
さっきの死の映像よりも無機質で冷たくて嫌な感覚が芽生える。

「で、さっき言った言語や運動?倫理なんかの情報は学習装置(テスタメント)で入力っと」

入力作業が終わり、ヘッドギアが外されて目を開ける。
不明箇所が多かった世界に意味が追加された。
そして私は
私は......ミサカになった。

「ハロー、言ってる意
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