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Fate/GrandOrder///OutBre;ak
始まりと終わりの境目で
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と式は「ぷっ」と微笑した。
「な、なんです?」
「いや、まさか本当に橙子の事を社長って呼ぶとは思わなかったよ」
「……雇われの身ですから上下関係はきっちりしないとですよ!」
そう、俺こと天城 輝真は先日、蒼崎橙子に雇われた。
仕事内容は雑用……それは雇われる前と変わらない。
でも、正式に雇われたのならけじめ位、付けないとな。
「式さん、その魔力って……」
「あぁ、視えてるよ。これを辿っていけば会えるだろうさ」
会える────正確には逢えるだろうか。
この世界の歪みに。この世界の抑止力に……。




────俺は認めないぞ、こんな結末。

────違う、こんな。これは俺の結末じゃない。

無限の剣の丘で一人、男は苦悩し続ける。
それは【エミヤ】ではない。若かれし衛宮 士郎の姿で。
救えなかった、救いたかった人々を救えた彼の人生は塗り替える様にすり替えられ、彼の結末はありえたかも知れない不確かな未来に行き着いた。
だが、所詮はありえたかも知れない不確かな未来。
衛宮 士郎の望んだ未来《結末》ではない。
恐らく、この結末に文句を言う奴は誰も居ないだろう。
誰もが幸福で不幸に成らない世界だ、誰もが望んだ世界に決まっている。
それは衛宮 士郎の望む結果である。
決して結末ではないのだ。
望むもの、望んだ世界かも知れない。でも────それでも、望む事を許された世界だとしてもこの結末では誰一人、救われない。
大きな矛盾。
誰もが幸福で不幸に成らない世界。
それなのに誰一人、救われない報われない世界。
その矛盾はやがて大きな亀裂を走らせる。
始まる前に。そうなる前に止めなければ今まで歩んだ道が無駄になってしまう。
無駄な事なんて無かった。
色んな事を経験し、学んだ。
飽きる程、続き。飽きる事の無かった学生生活を思い出す。
これを無駄にできない。無駄にしちゃいけない。
────無駄になんてさせるもんか。
衛宮 士郎は抗い続ける。その結末に意味はなくとも、その道の行き着く先が地獄だとしても。彼は抗い続けるだろう。
諦める事を知らない彼に。
諦めを教えてくれた彼女は微笑み、未来のエミヤはその姿を眺め……呟くのだ。

────諦める事を知らない、立ち止まらなかった今の俺に。

その先の言葉はかき消され。
少年の心に届く事は無かった。
────分かってる、届かなくても知っているから。
少年は笑顔で答える。
迷いを感じさせない無邪気な笑顔で。




突然、脳裏に『何かが』焼き付けられた。
────なんだ。
─────無限の剣製……?
知らぬはずの魔術……戦闘知識。
膨大な情報が頭に入り込んでくる。
「……くそッ、なんだこれ!?」
────激痛。
ズキズキと軋む頭
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