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第十九話 コーヒーも捨てたものではありません。
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正式に大将の昇格を言い渡され、帝国歴482年11月15日、大将になり、宇宙艦隊副司令長官となることとなるのである。
 派遣が決まったのは、以下の面々である。

 宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス大将 直属艦隊10000隻。
 第八艦隊 シドニー・シトレ大将(副司令長官) 14000隻
 第九艦隊 バール・ビュンシェ中将 14000隻
 第六艦隊 ヴィラ・デイマン中将 14000隻
 第四艦隊 ドワイト・グリーンヒル中将 14000隻
 
 このほかに、統合作戦本部長ブラッドレー大将や最高評議会のメンバー、有力政治家、財界のメンバーなども乗り込んでいた。66000隻にも上る艦隊は、あの第二次ティアマト会戦を上回るものであった。
 派遣艦隊は3月末に出立し、帝国歴483年5月に、イゼルローン要塞に達することとなるのであった。



惑星ハイネセン 高級住宅街ベルモント地区――。
 ここはもっぱら自由惑星同盟に亡命してきた高位の貴族や有力者たちがひっそりと暮らしている地区であった。何もそんなところに十把一絡げにしないでもいいのではないかと思う向きもあったが、同盟側にしてみれば、監視がしやすい事、また、反帝国主義の人間から亡命者を守るのに、一か所の方が都合がいいことなどから、そのように処置していたのである。もっとも下級貴族や官吏などは、また違った地区に住まわせているので、彼らが接触することはなかった。
そのベルモント地区のはずれ、白い3階建ての屋敷に、ことさらひっそりと住まう数人の人々があった

「そうか・・・いよいよ行くか」

 薄暗いカーテンで覆われた書斎にあって、12歳のカロリーネ・フォン・ゴールデンバウムがアルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデンをまじまじと見ていた。

「はい」

 アルフレートは亡命後、自由惑星同盟士官学校に特進入校し、主席で卒業し、いよいよ少尉として前線に出ることとなっていた。卒業の日は3月10日であったが、ちょうどこの時に遠征軍がイゼルローン要塞に出撃することになる。原作から二人はそのことを知っており、まだ正式には何も発表されていないものの、前線に出ることを志望しているアルフレートがどこかの艦隊に配属されるのは間違いないとみていた。

「世話になったの。色々と。妾なぞこうしてここでなにをするでもなく無為に過ごしているというのに、そなたは勉学に励んでおった」
「なにをおっしゃるのですか。皇女殿下も4月から士官学校にお進みあるのでしょう?」

 カロリーネ皇女もまた士官学校に進む道を選んでいた。年齢に制限はあったものの、アルフレート同様特進入校を果たし、合格している。特進入校とは、年齢が達しないものの学力その他で非常に優秀な者に認められる特別入校の事である。ファーレンハイト
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