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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第十九話 コーヒーも捨てたものではありません。
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これには政治的要素が絡んできている。現議長ピエール・サン・トゥルーデ自身と主だった幹部は保守派であるが、ここに一つのささやかな人事が起こった。その人事が今回の出兵の端緒となっている。
それまでの国防委員長が急きょ心不全で死亡した。彼自身も現政権の保守派であり、穏健派である。だが、ピエール側は国防委員長を新たに建てる人材を用立てできなかった。
理由は、国防委員長のポストに就くべき有力者が「団栗の背比べ」状態であり、すぐには決められなかったのである。
ここで――。
自由惑星同盟の最高評議会は、この現世においては事実上の「内閣」と言っていいだろう。その内閣のポスト構成委員も一枚岩ではなく、構成員15名のうち、ピエール側9名、連立与党2名、そして野党4名という構図で有った。
なぜ内閣に野党がいるのか?これは自由惑星同盟という国家の性格上必要なことであった。一惑星の国家はともかくとして、130億人という多大な人口を抱え、かつ様々な星系の統合国家である以上は、その思想も、欲するところも、一国家とは比べ物にならないほど多様な考え方が集結することは自明の理であろう。
与党とはいっても全母体に比して少数であることは言うまでもなく、その限られた与党が全民衆をコントロールすることは事実上不可能である。いわば「ガス抜き」「要求を受け入れる体制アピール」という点から、野党が内閣に加わっているのである。むろん半々ではお互いにけん制しあって政策が進められないので、与党構成員は連立を含めて過半数、という規定が存在している。
話は戻るが、死去した国防委員長のポストを巡ってピエール側が内部で争っている間に、野党と連立与党がいつの間にか手を組んで、新しい国防委員長を指名してきたのである。
ピエール側は臍をかんだが、まだ新しい国防委員長に対抗できるだけの人材を確立できておらず、やむをえず野党側の提案を受託した格好になってしまった。
その国防委員長が第5次イゼルローン要塞攻略作戦を提案してきたのである。これは保守与党に対する事実上の「挑発・挑戦」であった。しかも野党側は徹底してマスメディアを利用して「積極攻勢!!」をあおったので、同盟市民は勇奮した。
マスメディアの宣伝という「麻薬」によって、彼らはイゼルローン要塞を踏みつぶし、帝国に乱入し、皇帝の首を取り、血祭りにあげ、虐げられている民衆を開放する!などという甘いロマンチズムに酔いしれたのだった。大規模な会戦は数年来なく、同盟市民も怠惰な風紀の中で過ごしていたことも、この一要因であっただろう。
シトレは顔をしかめたまま、本部長閣下の入れたコーヒーを一口飲んだ。気分を落ち着けようとしているようにヤンには見えた。だが、次に発せられた言葉にはまだ苦々しい響きが残っていた。原因はコー
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