8部分:第八章
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第八章
「それでは」
「どうなるかな。ただ君は」
「私は」
「確か自然修復能力もあったな」
将軍はハルトマンの身体についても言及した。
「そしてエネルギーはだ」
「実は錬金術も使われていまして」
「それもか」
「終戦間際の再改造でそれも入れられました」
そうだったというのである。
「そして今の私はです」
「錬金術もじゃな」
「そうです」
ナチスではオカルトもかなり深く研究されていた。それで彼にもそれが入れられていたのである。それが今の彼なのである。
「錬金術も考えようによっては科学ということで」
「それでか」
「それで今の私はほぼ永久に動くこともできます」
それもだというのである。
「ですから」
「しかしそれは誰も知らんな」
「おそらく。私が黙っている限り私がサイボーグだということも」
「ならいい。君のことが知られれば君は必ず不幸になる」
彼の身体のことはドイツ軍では知られてはいた。実際に見た者も多い。だが多くの偽名に仮の階級、そしてサングラス等も使った変装等により彼の本名も本当の顔もどれなのか全くわからなくなっていた。これは意図的なカモフラージュでありそれは成功していたのだ。そして伝説が一人歩きもしていたのである。
それによってだ。彼の本名も正式な階級も素顔もわからなくなっていた。当然その職務もである。何もかもが不明になっていたのである。
だからだ。将軍も今こう言ったのであった。
「だからだ」
「私が黙っていればですね」
「それで済む。いいな」
「はい、それでは」
「君は裁判にかけられて刑務所に入るだろうが出られる」
こう言うのであった。
「安心するのだ」
「そしてそこから出た後は」
「君自身で考えるといい」
将軍もそこまでは言えなかった。流石にそれから先はわからなかったのだ。
「それはな」
「左様ですか」
「ではだ。また会おう」
将軍は彼と別れだ。左手に足を進めるのだった。
「機会があればな」
「はい、閣下も」
「うむ、これでな」
二人で敬礼をし合ってだ。そのうえで別れた。ハルトマンはこの直後連合軍に拘束された。だが彼の正体は知られておらずそのまま普通の軍人として裁判を受け判決が下った。懲役七年であった。
そこから出てだ。西ドイツに入った。しかし仕事は何をするか考えていなかった。だがここで彼の前にある国から使者が来たのであった。
「アルゼンチンのか」
「はい、アルゼンチン陸軍です」
スペイン語の訛りが見られるドイツ語での返答だった。
「その軍事顧問になって欲しいのですが」
「私がか」
「是非。大佐として来て頂けます」
「階級はいい」
それはいいというのだった。それはだ。
「だが。私をか」
「是非にです」
使者
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