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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十二話 行動命令
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での決定事項となれば、不満は持っても納得するだろう。

司令長官室を出て、副司令長官室に戻るとリューネブルク中将が部屋で待っていた。
「朝のご機嫌伺いですか、大変ですな若い司令長官を持つと」
「たとえ相手が誰であろうと同じ事をしますよ」

リューネブルクは俺が副司令長官になると、直ぐ宇宙艦隊への配属を希望してきた。オフレッサーとはやはり上手くいっていなかったらしい。一度、切り捨てられそうになっているからな、仕方ないと言える。

おかげで俺は着任早々、ラインハルトに頭を下げ、オフレッサーに会ってリューネブルク率いる装甲擲弾兵第二十一師団を宇宙艦隊へ配属するように頼んだ。オフレッサーは面白くなさそうだったが、意外にあっさりと許してくれた。厄介払いの気持ちもあったんだろう。

ラインハルトも面白くなさそうだった。どうもこの二人は相性が悪いんだな。配属が決まったあとの挨拶も碌なもんじゃなかった。各艦隊司令官の居る前でラインハルトがちょっと嫌味っぽく “今度は私の部下として働いてくれるのか”といえばリューネブルクも“副司令長官のご命令があれば”なんて不敵に言いやがる。

周りは気まずそうに顔を見合わせているし、ラインハルトは顔が引き攣っている。俺は咄嗟にヴァンフリートでは、二人とも俺の命令で動いていた。二人ともとんでもない奴だった、と言って誤魔化した。苦しい言い訳だよ。

「司令長官はご機嫌斜めだったでしょう」
俺を試すような眼で見ないで貰いたいな、リューネブルク。
「そんな事はありませんよ」

「嘘をついてはいけませんな」
困った奴だ。俺を嘘吐き扱いする。
俺は、リューネブルクに構わず執務机に座り書類を見始める。

「……」
「閣下も意外に意地が悪い」
「……」

「各艦隊の司令部、分艦隊司令官人事を決めながら、司令長官の艦隊には何もしないのですから」
「……私が口を出したら嫌がりますよ」

「まあ、そうですな。しかし、ああも手際よく決められると司令長官もキルヒアイス大佐も落ち込むでしょうな」
「……」

リューネブルクの言う通り、俺は各艦隊の人事に関与している。きっかけはビッテンフェルトだった。司令部人事をどうしたら良いかと訊いてきたんで、原作知識で知っている奴を教えたんだがそれがきっかけで各艦隊から相談が来た。

知ってる限りは教えたが、後は選んだ奴に相談して決めろと言って追っ払った。ついでにベルゲングリューン、ビューローはそれぞれロイエンタールとミッターマイヤーのところに配属させた。

キルヒアイスが昇進するまで未だ間があるからな。早い者勝ちだ。嫌がらせじゃないぞ。あれだけの人材なんだ。遅かれ早かれ誰かが自分のところへ引っ張るだろう。
クレメンツは自分で選んできた。あの人は士官学校の教官
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