Side Story
少女怪盗と仮面の神父 15
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心故か職業病か。
背中に垂らした三つ編みは毛先のはみ出しもなく綺麗にまとまっていて、全体に清潔感を漂わせている。
サラッサラした長い髪を自分で編むとは、なんと器用な手先だ。
体型も、余分な肉が一切無く、スラッとしていて健康的。
どこぞの貴公子、あるいは凛々しい貴婦人ですと紹介されても納得できる風体だが……一応女である身としては、横に並んで歩きたくはない。
二人を比較する目線が集まれば、冴えない自分を嫌でも自覚させられて、地味に悲しくなりそうだ。
元々、入念にお手入れするほど己の外見に拘りはないが。
しかし。
「……ありがとうございます」
ミートリッテが自己嫌悪に陥る前に、何故かアーレストのほうが少しだけ残念そうに肩を落として微笑んだ。
(? 普通に誉めたつもりだけど、適当に流されたとか思ったのかしら? 私の反応が不満なら尋かなきゃ良かったのに。私からの好感度が超激低で、わざと愛想悪くしてることくらい分かって……なかったりして。そういうの気にする性格じゃなさそうだしなあ)
寂しそうにも拗ねているようにも見える横顔に、若干首をひねりつつ。
普段は開き放しの門扉にもしっかり施錠したアーレストと隣同士、青紫とオレンジが混ざる夕焼け色の坂道を同じ速度で下る。
果樹園の下方にある菜園までの一本道、人影は一つもなかった。
その代わり、菜園の周辺では教会方面に二人、果樹園方面に二人、住宅区方面に二人、村の入口方面に二人、計八人の武装した自警団員が、それぞれ見える範囲の様子を窺うように立っている。
どうやら巡回を無事に終えて、各自指定位置に就いたらしい。
(ここには八人か。二人一組で交通の要所を張ってるなら、村の入口側でも六人から八人くらいは置いてそうだけど……中央広場周辺と船着き場周辺はどうなってるんだろう? 自警団員なんて、全員を同時に引っ張ってきてもせいぜい三十人程度しかいないのに)
訓練でもなんでもない、本物の海賊が相手では、さすがに緊張するのか。
こちらから気軽に声をかけられる雰囲気ではなさそうだ。
相手が振り返った際に「お疲れ様」と挨拶しつつ、その脇を通り抜ける。
みんな、声を出さない代わりか、軽い会釈で答えてくれた。
「……見事な菜園ですね。作物はすべて、村外への商品なのですか?」
「近辺の村や町との商会協定で、この村にも出荷制限が掛けられてるので、全部ではないです。収穫物の三割程度は村人にも格安で売ってくれますよ。ちなみに、ここの畑は主に葉物野菜を育ててます。あっちの、今下りてきた坂道の近くでは芋とかの根菜類。もう少し先の果樹園近くでは、トマトとか背が高くなる植物を中心に植えてますね」
「なるほど……土地の高低差を利用した
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