4章〜昏き聖痕〜 異伝〜遥かなる記憶 第3話〜
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〜アルテリア法国・封聖省〜
「―――第543期修練生。ケビン・グラハム。大いなる女神の名の元に汝を”星杯”の従騎士に任ずる――」
「―――拝命しました。我が血と肉は七耀の理に、魂は女神に捧げることを誓います。」
多くの位の高い神官達の前で封聖省の枢機卿に”従騎士”を任じられたケビンは跪いた状態で厳かに答えた。
「うむ。その若さでの任命、いささか異例ではあるのだが…………そなたの適性、および研鑽が実を結んだものであると信じよう。これより先は女神の僕として秘蹟の守護者たるべく励むがいい。」
「ハッ。」
枢機卿の言葉に答えたケビンは部屋を出た。すると近くの柱にセルナートがもたれかかっており、ケビンに気付くと話しかけてきた。
「やあ、ケビン・グラハム。無事、お偉いさんの審議をくぐり抜けたようで何よりだ。善哉、善哉。」
「セルナート教官………色々とお世話になりました。まさか守護騎士ほどの方に監督して頂けるなんて思ってもいませんでしたわ。」
「フッ、殊勝な態度だな。とても身一つで封聖省に乗り込んで『オレを騎士にしてくれ!』なんて頼み込んだ少年とは思えないくらいだ。」
ケビンの態度を見たセルナートは昔を思い出し、口元に笑みを浮かべてケビンに言った。
「はは、あれはその………オレも若かったってことで。」
「まあ、ちょうどその場に居合わせていたからこそ私も君に興味を持ったのだがね。しかし、その君がまさかルフィナの身内だったとはな。どうせだったら彼女を頼って門を叩けば良かったものを。」
「い、いやその………色々と事情がありまして。」
不思議そうに自分を見て尋ねたセルナートにケビンは言葉を濁した。
「フフ、まあ仔細はいいさ。これで君も晴れて我等と同じ教会の狗となったわけだ。これからよろしく頼むぞ。」
「ええ、こちらこそ。しかしその狗っちゅうんはさすがに身も蓋もなくないですか?いたいけな新人にかける言葉やないと思うんですけど。」
「クク………君が幼気というタマか。それに騎士団の実態はまさにそういった類いのものさ。秘蹟の匂いを嗅ぎ回り、それに魅入られし外法あらば喉に喰らいつき噛み千切る………これを狗と言わずして何と言う?」
一方ケビンに尋ねられたセルナートは不敵な笑みを浮かべて尋ね返した。
「ま、さんざん脅されましたし今更ビビリはせぇへんですけど。………でも…………」
そして尋ね返されたケビンは答えた後、表情を僅かに暗くした。
「フフ、わかっているさ青少年。君の大事な女性までそんな風に呼んで欲しくない………つまり、そういう事だろう?」
「だ、だから違いますって。ルフィナ姉さんはその……オレの恩人っていうだ
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