機動戦艦ナデシコ
1338話
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エザリアの口から出た言葉に、グリューノの表情は固まる。
いや、グリューノだけではない。他の4人の連合軍、連合政府の代表も同様に厳しい表情になっていた。
この辺については元々アカツキを通して臭わせていたのだが、それでもシャドウミラーの政治を代表するエザリアの口からその言葉が出るというのは衝撃だったのだろう。
「それは、この世界を侵略する……と取ってもいいのですかな?」
「侵略? まさか。そもそも、今も言いましたが連合軍が木星蜥蜴に対して敗戦を重ねたのが原因です。いえ、それは仕方がないかもしれません。全ての敵と戦い、勝利するというのは、普通の軍隊では無理なのですから」
シャドウミラーなら別ですが、と小さく続けるエザリアに、グリューノの頬がヒクリと動く。
まぁ、自分が総司令をしている連合軍が弱いと言われているようなものなのだから、グリューノの立場としては納得がいかないだろう。
……それが、事実であるだけに。
だがグリューノが何かを言う前に、エザリアは再び言葉を続ける。
「それはいいのです。ですが、火星の人達を切り捨てる。そうした以上、連合軍や連合政府は火星という存在そのものを切り捨てたと私達は認識します」
「違う! 切り捨てた訳ではない、高度な政治的な判断により、一時撤退したに過ぎない!」
「この場でそのような事を言う意味をきちんと理解している上での発言。そう取らせて頂いても?」
型通りの発言をした相手へと向かって告げるエザリアの視線は、まさに極寒と呼ぶに相応しい冷たさだ。
……まぁ、明らかに自分達よりも格上の相手に行き当たりばったりな発言をするというのは、エザリアにとっては攻め込むべき好機にしか見えないんだろう。
しかも、さっき火星でシャドウミラーが木星蜥蜴を駆逐しているといったのを告げた時に越権行為だって叫んだのに続いて2度目だし。
この場に出てくる以上、それなりの人物だとは思うんだが……いや、上にいる人間が全て有能って訳じゃないのは事実だけど。
シャドウミラーなんて、代表の俺がホワイトスターにいない時間がかなり多い。
その時はレモン、コーネリア、エザリアの3人にシャドウミラーの運営を任せているのを考えれば、上よりもその下辺りに有能な人物が多ければ、組織ってのはしっかり回るんだよな。
「いや、違う。今の発言は撤回させて欲しい」
グリューノが苦々しげな表情を浮かべつつ告げる。
悲惨な事に、本人のものではない失点が多い。
「だが、彼の気持ちも理解して欲しい。連合軍としては、決して火星を切り捨てたくて切り捨てた訳ではないのだから。それをしなければならなかったというのは、私達連合軍の実力不足だと言ってもいい。だからこそ、私達はそちらの言うマブラヴ世界のように兵器の輸入を
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