第４６話二頭の魔獣
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三人称side
２０２５年１月２１日、《アルヴヘイム》・中立域・《ルグルー回廊》
《ルグルー回廊》ーーーそれは《風妖精》の都から、《アルヴヘイム》の中央に位置する《世界樹》へと繋がる洞窟である。現在この道を通っているのは四つの種族の男女７人の妖精達。《影妖精》の少年キリトの魔法により、薄暗い洞窟の中を外の世界と同じように視界を利かせて進んでいる。だが、その足取りは遠足やピクニックのような緩やかな足取りではなく、何処か急いでいるように早い。理由はーーー
「クソッ！《サラマンダー》の奴ら・・・！！」
「《追跡魔法》をもう使えないからって・・・」
「まさか直接のチェイスとはな・・・」
《火妖精》大隊の追跡である。《風妖精》の少年ライトが悪態をつき、《水妖精》の少女アリーが言った理由に続いてもう一人の《影妖精》の少年ミストが今の状況になった元凶である少年を見つめる。
「しょうがねーだろ！！ストーキングみたいな事されたら男だって気持ち悪ぃっての！！」
三人目の《影妖精》の少年ライリュウ。彼が赤いコウモリ型の《追跡魔法》を握り潰した事で、大人数の《火妖精》の追跡に発展させてしまった。その数ーーー２４人。
「湖が見えてきたで！」
関西弁の仲間の《火妖精》の少女、キャンディの声で彼らに希望が見えた。湖の中央に位置する鉱山都市、その中間にある長い橋を渡りきれば逃げられる。そうして彼らは全力疾走してーーーいる最中に、背後から二本のオレンジ色の光の筋が彼らを追い越した。その着弾点からはーーー巨大な岩の壁が現れた。それにより急ブレーキを掛ける事を余儀なくされた。
「《土魔法》の障壁よ」
「物理攻撃じゃ破れないんだよね・・・」
《土魔法》によって作られた障壁。その硬度はどんなに協力な攻撃でも決して破られる事はない。
「戦うしかない訳か」
「そうだな。逃げてばっかってのは嫌だからな」
「でもちょっとヤバイで。《サラマンダー》がこんな高度な《土魔法》を使うっちゅう事は・・・」
「よっぽど手練れの《メイジ》混ざってるぞ・・・」
「《メイジ》・・・魔法使いか」
《火妖精》がここまで高度な《土魔法》を発動出来るという事は、それ相応の魔法使いが加わっている。その《火妖精》のーーー《メイジ隊》の姿が見えた時、キリトとライリュウが口を開いた。
「リーファ。君の剣の腕を信用してない訳じゃないんだけど・・・ここはサポートに回ってくれないか」
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