3部分:第三章
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第三章
それでだ。その彼等もハルトマンについて話すのだった。
「見事ですな」
「確かに」
「まさかこれ程までとは」
「我が国の科学技術には絶対の自信がありましたが」
「予想以上です」
彼等はそれぞれの口で話す。密室、しかも暗い中で話しているので顔はよくわからない。だがここにいるのがナチス=ドイツの中でも国を動かすだけの者達であることは明らかだった。その彼等が話しているのである。
「ではこのサイボーグ技術を軌道に乗せ」
「第二第三の彼を造り上げますか」
「そうしますか」
「そうですな」
ここで一人が言うのだった。
「これだけの戦闘力があるのなら」
「確かにコストと人的資源の確保が難しいです」
「しかしそれでもです」
「これだけの力があれば」
それならばというのである。
「是非ですね」
「総統にもお話しておきましょう」
「はい、我がドイツの生存圏を築き上げる為に」
「その為に」
こんな話があった。しかしであった。
このサイボーグ化した軍人は結局彼しか行われなかった。彼一人だった。
ハルトマンはこのことに対していぶかしみながら軍の首脳部に問うた。何故自分以外にもサイボーグ化を進めないのかと。こう問うたのである。
それに対してだ。その軍の首脳はこう言うのだった。
「人が見つかりにくいのだ」
「人がですか」
「まだコストは何とかなる」
それはだというのだ。
「それはな。色々と手は尽くせる」
「しかし人はですか」
「そうだ、それがいない」
その問題だというのである。政府の高官達の予想はここでは外れてしまったのである。それはハルトマンにとっては残念なことだった。
それを聞いてもだ。彼がこう言ったのが何よりの証拠だった。
「しかし」
「しかしか」
「私以外にも人材はいる筈です」
こう主張するのだった。
「他にも」
「そう思うのだな」
「違いますか」
「中佐、残念だが」
ポーランド戦での功績によってだ。彼は中佐となっていたのである。その功績が認められてだ。そのうえでの昇進だったのである。
「君と同じだけの人材でなければ駄目なのだ」
「私だけのですか」
「そうだ、そうでなければその力は出せない」
そうだというのである。
「だからだ。いないのだ」
「まさか。そんなことが」
「今必死に探している」
それはしているというのである。
「しかしだ。それでもだ」
「いませんか」
「いればすぐに確保して改造手術を行う」
そうすると実際に言うのだった。
「我が国への絶対の忠誠心があればな」
「絶対のですか」
「君が若し敵になったらだ」
その危険も考慮していたのである。
「その時は恐ろしいことになるからだ」
「だからですか」
「我々も
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