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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第五話 私の存在意義
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「そんな、私は――。」
翔鶴は穏やかに首を振って紀伊の言葉を制した。
「私、それがとてももったいないと思います。だから、私に少しでもお手伝いさせてもらえますか?」
「???」
紀伊が不思議そうに目を瞬きさせると、翔鶴は言葉をつづけた。
「一航戦の先輩方にはとても及びませんが、私も及ばずながら艦載機の発着や攻撃について紀伊さんに教えられたらと思ったんです。」
「本当ですか?!」
紀伊は頬を紅潮させた。
「あ、あの、あの!ぜひお願いします。私は下手ですし、イライラさせてしまうかもしれませんけれど、どうか――!」
「いいえ、妹を助けていただいたのですもの。それに紀伊さんはとても素晴らしい人だということがこうしてお話していて感じました。今度は私が紀伊さんをお手伝いさせてください。」
翔鶴が微笑んだ。
「大丈夫よ、翔鶴姉はとても艦載機の扱いが上手いの。一航戦なんかに負けはしないわ。」
瑞鶴が誇らしそうに言った。
「瑞鶴ったら・・・。私はあなたの言うほどじゃないわ。それに一航戦の先輩方をそんな風に言ってはだめでしょう?」
翔鶴がたしなめた。
 そして明日早朝から翔鶴が指導するということに話が決まった。面会時間が終わったので、二人は早々に部屋を出た。
「よかったですね!!」
榛名が自分の事のように嬉しそうに話しかけた。
「はい。これも榛名さんのおかげです。」
「いいえ、紀伊さんが自分で開いた道です。紀伊さんならきっときっとこれからも自分で道を見つけられるはずです。榛名も応援しています。」
「ありがとう・・・・。」
紀伊はこみ上げてくるものを懸命に飲み込んでこらえた。

 一方同時刻――。提督の執務室横の会議室では主だった艦娘たちの会議が行われていた。
「提督のご意見ではここ最近の大規模な敵艦隊の跳梁の裏には敵の一大根拠地の存在があるとのことです。」
鳳翔が口火を切った。
「そしてその根拠地は南西諸島方面にあるとお考えです。」
「なるほどな。確かに南西諸島は敵の手中に落ちたまま。あそこは海上の要衝だ。敵の補給基地があったとしても何ら不思議ではない。」
日向が両手を机の上に組んで顎を乗せながら言った。
「だから特に最近燃料弾薬やボーキの補給が滞りがちだったんだ。大陸からの船の半分はあそこを通ってくるからね〜。西側からの船とかさ。」
と、伊勢。それにうなずきを返した鳳翔は皆を見まわした。
「これ以上見過ごしていては、わが方が不利になるばかりです。そこで、提督が軍令部に意見具申した結果、佐世保鎮守府と共同し、大規模な偵察部隊を反復して出撃、敵の根拠地を発見後、全力を挙げてこれを撃滅し、南西諸島から深海棲艦を一掃する作戦を発令することとなりました。」
これを聞いた面々は一斉に色めきだった。
「やった!久しぶりの積極
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