第五話 私の存在意義
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る。これもみんなのサポートのおかげだろうが、奴自身も成長してきているということだ。俺はそれが嬉しかった。
嬉しかったから、またまた間宮券を二人と第七艦隊の連中分くれてやった。後で好きなものを食えと俺が言うと、二人はびっくりしたような顔をした。俺の財布は大破したが、第七艦隊の戦意高揚につながるのなら、まぁ、いいだろう。
そして、もう一つ俺には気になることがあった。まだ外洋とはいえ、紀伊半島沖付近にまで敵が進出してきている。それも偵察程度ではなく、かなり大規模な部隊が。となると、どこかに敵の中間根拠地があるんじゃないかということだ。そういうと、紀伊の奴が、それは南西のほうではないでしょうかといった。
ほう、南西か。実を言うと報告を聞いて俺もそう思っていた。低気圧の北上コースをぐるっと迂回するような、ましてそれを突っ切るようなまねを敵艦隊がとるとは思えない。前者は燃料が相当食う。後者は下手をすれば駆逐艦クラスは沈む。そうすると、低気圧の北淵をかすめるようにして南西から紀伊半島沖に進出してきたとみるのが妥当だろう。奴はなかなか頭が切れるんだな。
南西諸島方面か、なるほどな。これを一応上層部に報告を上げると同時に威力偵察部隊を編成して哨戒させる必要があるかもしれない。
おっと、桜の花びらが執務室に飛び込んできやがった。そういえば、もう桜の季節か。じゃあ、今年も例のあれが始まるころだな。楽しみだ。
紀伊と榛名は提督の執務室を出るとどちらともなく一緒に瑞鶴を見舞おうということとなった。紀伊はドックに入るのは初めてだった。全部で5階建ての建物は広々として明るい。ガラス張りのフロアのためだろう。だが、病院のように静まり返っている。榛名が説明してくれたところによれば、ここにはメディカルバスと呼ばれる広々とした風呂の様な施設が1階にあり、2階以降は個室の病室が並んでいるのだという。艦娘は軽傷の場合にはメディカルバスで傷をいやすのだが、大破して重傷を負った艦娘は数日メディカルバスと病室を往復するのだという。専門のメディカルチェックを担当する妖精が常時在籍して面倒を見ているのだという。メディカルバスに入ってみるとちょうど瑞鶴は出た後だとのことだったので、二人は瑞鶴の病室をノックした。瑞鶴は姉の翔鶴に付き添われて病臥していたが、二人を見ると体を起こそうとした。
「いいえ、無理しないでください。傷に障ります。」
「ううん、ずっと寝ているのは飽きたから大丈夫よ。」
瑞鶴は翔鶴に助け起こされて起き上がった。弓道衣ではなく薄紫色の浴衣を着ている。そっと翔鶴が毛布を瑞鶴に羽織らせた。それを見て紀伊はとてもいい姉なのだと思った。妹のことをとてもとても大切に想っている。
「榛名さん、紀伊さん、この度は本当にありがとうございました。特に紀伊さん。あなたがいなければ、私
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