第二十九話 お墓地でその六
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「教祖殿と祖霊殿は行ったわよね」
「一応は」
どうもあまり強くない感じです。
「行きましたけれど」
「もう一回行ってみる?」
他にも色々な場所がありますけれどやっぱりここかしらって思って。それで言った言葉です。
「両方に。どう?」
「そこにですか」
「ええ。嫌ならいいけれど」
「じゃあそこに」
「わかったわ。それじゃあね」
「はい」
また随分とにこやかに笑っています。どうしてこんなに嬉しそうなんでしょうか。どうも阿波野君がわからなくなってきました。何はともあれ田んぼが見える道を歩きながら神殿に向かいます。
そこでまた。阿波野君が言いました。6
「おぢばにこんな場所があったんですね」
「こんな場所って?」
「ですから。田んぼが」
こう言うのです。
「田んぼもあったんですね。しかも神殿のすぐ側に」
「そんなに珍しいの?」
「珍しいっていうか不思議と合っていますよね」
この言葉は少し意味がわかりませんでした。
「神殿やおぢばに」
「合ってるね。確かに自然な風景になってはいるわね」
「ええ。あとさっき通り過ぎた」
後ろを振り向いたりもする阿波野君でした。
「あの建物ですけれど」
「あれは第百母屋よ」
「百って・・・・・・」
「青年ひのきしん隊の隊舎でもあるのよ」
「青年ひのきしん隊!?」
阿波野君はそれを聞いて首を傾げました。今私達は舗装されていない土の道を歩いています。二人並ぶことができないので私が先に歩いています。横になれないこともないですけれどそれだと狭いからです。やっぱり左右には田んぼや畑が見えてとてものどかな光景です。
「何ですか、それ」
「ひのきしんはもう知ってるわよね」
「はい」
これはもう勉強している阿波野君でした。
「簡単に言うとボランティアですよね」
「そうよ。それをね。大教会ごとに人を出して一ヶ月近くひのきしんをしてもらう人達のことを言うのよ」
「一ヶ月ですか」
「ええ。男の人だけね」
だから『青年』なのです。青年といっても御年輩の方も参加されたりしますけれど。なお青年会は婦人会と対になっている組織です。男の人の集まりです。
「集まってそれで一月近くね」
「へえ、またそれは男臭くていい感じですね」
「阿波野君も高校卒業したら行ったら?」
少し釘を刺すようにして言っておきました。
「そのいい加減な性格をなおす為にも」
「いい加減じゃないですよ」
「いい加減よ」
またこのやり取りになってしまいました。阿波野君といるとどうしてもこんなやり取りになってしまうのはどうしてでしょうか。sおれが歯がゆくもあります。
「全く。全然わかっていないじゃない」
「まあまあ。けれど皆でひのきしんですか」
阿波野君の声が考えるものになっていま
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