第二十九話 お墓地でその四
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「それがとても」
「言われてみればそうかも」
阿波野君の言葉を聞いて私もそう思いはじめました。子供の頃からずっとここに来ていたので私には実感がなかったです。そういえば神殿にしろ子供の頃から行っていて今は毎日朝と夕方には参拝していますから特に思うところはありません。ごく自然です。
「神々しいわよね」
「そうでしょ?あの神殿だって」
「神殿もね。確かに」
「そういうの感じません?」
阿波野君の言葉はそういうことが不思議で仕方ないといった感じでした。この辺りにに阿波野君と私の認識の違いがありました。
「そういうのがとても凄くて」
「ううん、言われてみればなのよね」
私にとってはそんな感じでした。
「いつもここに来てるからかしら」
「そういうものなんですか。ほら、お墓にしろ」
「ええ」
「何か凄いじゃないですか」
お墓についても言うのでした。
「土が盛り立てられてあって」
「土ねえ」
「聖地にいるって感じしますよね」
また言うのでした。
「この雰囲気。滅茶苦茶いいですよ」
「そんなに気に入ったの」
「ええ。じゃあお墓に一つずつお参りするんですよね」
「そうよ」
このことはあらためて言いました。
「まずは初代真柱の真之亮様のお墓ね」
「その方の場所は何処ですか?」
「一番端よ」
奥様のお墓もあります。他には本席様に上田ナライト先生のお墓も。全部一つずつお参りしてから階段を降ります。そこでまた阿波野君が私に言ってきました。
「今度は何処に行くんですか?」
「何処って。後は奥華の歴代の大教会長さんのお墓にお参りしてね」
「お墓地はそれで終わりなんですね」
「そういうこと。どう?おぢばのことが大体わかってきたかしら」
「結構広いんですね」
阿波野君はしみじみといった感じで言いました。
「おぢばって」
「狭いようにかなり広いわよ」
「ですよね」
「けれど人との出会いはかなり多いのよ」
こうも阿波野君に言いました。
「再会もね」
「へえ、それって面白いですね」
「ここはね」
少し間を置いてから話しました。
「ふしぎやしきっていうのよ」
「ふしぎやしきっていいますと」
「自分のいんねんを見せてもらったりね」
そうしたことが本当にあるんです。このことはよく聞きます。
「他には思わない御守護を頂いたり」
「例えばどんな」
「よくあることだと病気が治ったりね」
嘘ではないんです。本当に見えなくなっていた左目が見えるようになったりとか。奥華にそうした会長さんの奥さんがおられるからです。
「そういうことがあるのよ」
「病気がですか」
「阿波野君も治してもらったら?」
ここで少し阿波野君に対して釘を刺しました。
「その軽薄さ」
「僕は全然軽薄じゃないです
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