第三百三十一話
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第三百三十一話 姉が気になって
赤音はどうもとだ、自分の使い魔達に言った。
「最近お姉ちゃん奇麗になってない?」
「そうかしら」
「別にね」
二匹はそう言われてもこう返すだけだった。
「これまでとね」
「変わってないわよね」
「そうよね」
「特にね」
こう二匹は言うだけだった。
「別にね」
「そこまで奇麗になってる?」
「変わってないわよね」
「そうよね」
二匹の意見はこうだった、だが。
赤音はそのジップとハリーにだ、また言った。
「よく見て」
「よく見たらわかる」
「そう言うのね、ご主人様は」
「そう、本当によく見てね」
口を尖らせての言葉だった。
「お姉ちゃんを」
「じゃあそうする?」
「そうよね」
ジップとハリーは今は赤音が座っている彼女の部屋の勉強机のそのうえで主の前にいたがそこで顔を見合わせて言い合った。
「ご主人がそこまで言うし」
「それならね」
「使い魔としてね」
「そうしましょう」
「ええ、そうしてね」
さらに強く言う赤音だった。
「あんた達も」
「そこまで言うのなら」
「今からそうするわ」
「葵さんが帰って来たら」
「その時はね」
「そう、お姉ちゃんもう少ししたら帰ってくるから」
机の上の時計を見るともう五時半だった、それまで宿題をして予習復習もしていたのである。
「見てね」
「じゃあね」
「これからね」
「遅くても晩御飯の時までには帰ってくるからね」
赤音は二匹に最も長いケースも話した。
「それまでに見てね」
「遅くても晩御飯の時」
「その時にね」
「どうせあんた達も一緒にいるから」
晩御飯の時にはというのだ。
「わかったわね」
「何か今日のご主人って」
「ちょっと強く言うわね」
「だってそう思うから」
本当にと言う赤音だった、ジップとハリーはその彼女の言葉に従うことにした。使い魔として友人として。
第三百三十一話 完
2016・4・9
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