第2章:埋もれし過去の産物
第47話「立ち直って」
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いでください。」
ザワザワと、少しだけ騒がしくなる。
だけど、その騒がしさに負けないように、僕ははっきりと喋る。
「別に、緋雪の事を忘れろ、とはいいません。緋雪が死んでしまったのは事実ですし、僕自身、なんであの子だけ死ななければならなかったとか、なんで僕は生きているのかとすら思った事があります。....でも、だからと言って引きずったままでいい訳ではありません。」
少し、語気が強くなりつつも、僕は喋り続ける。
「緋雪が死んでしまった事を、皆は悲しんでいい。泣いてもいい。...でも、必ず立ち直って、強く生きるようにしてください。...皆がずっと悲しんでいるのは、緋雪は望んでいないはずですから...。」
喋り続ける僕も、少し涙を流す。
...まだ、悲しみが消えた訳じゃないからね。
「緋雪は死んだ。これは事実です。だからこそ、緋雪の分も僕らは生きるべきなのです。....悲しいのなら、一度大いに、全てを吐き出すように悲しんでください。...そして、緋雪のためにも精一杯前を向いてください。....それが、緋雪への最高の手向けになると思います。」
“以上です”と締めくくり、僕は檀上から降りる。
生徒の嗚咽があちこちから聞こえ、悲しんでいるのが分かる。
だけど、後は立ち直ってくれるのを祈るしか僕にはできない。
「(...この追悼式を経て、皆が立ち直ってくれるといいけど...。)」
そのまま式は進み、僕が花を供えるのを最後に終了した。
「...良い傾向...かな...?」
前よりはマシになった。...そう思える雰囲気に教室はなっていた。
「(少しずつだけど、皆立ち直ってきてる。)」
あの式の後、皆泣いていた。
その時に一気に悲しみを吐き出したのか、少しずつ立ち直ってきていた。
「(僕としても、皆が立ち直ってくれると助かるからね。)」
既に友達のほとんどは立ち直っている。
アリサちゃんやすずかちゃんも、僕が立ち直っているのを見て、いつまでも悲しんでいられないと立ち直ったみたいだ。
...司さんは未だに少し引きずってるけど...まぁ、時間が解決するレベルだ。
「(....僕は、導王失格だ。緋雪を....シュネーを導ききれなかったからな。....でも、だからこそ、皆を悲しみに囚われないように導くぐらいは、できないとな。)」
以前よりは明るい雰囲気で続く授業を受けながら、僕はそう思った。
「(...でもまぁ、そう上手く行くとは限らないよな...。)」
休日の昼過ぎ。椿と葵との三人で、買い物に行った帰り...。
「なんでそんな平気で
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