第2章:埋もれし過去の産物
第47話「立ち直って」
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親しまれていたが故に、皆は悲しみを引きずっている。
...そんな所だろう。
「(...流石に、一年生辺りはまだよく分かっていない子もいるけど。)」
全校集会の意図が全く分からないのか、気楽でいる一年生もチラホラいた。
「(...っと、そろそろ始まるな。)」
僕は静かにして、全校集会の内容に耳を傾けた。
「...で、追悼式をするとはね...。」
全校集会での話は、要約すれば“皆引きずりすぎ。立ち直るためにも追悼式をしよう。”って感じで、こうして各々の胸の内に悲しみを仕舞うのではなく、一度大々的に悲しみを吐露した方が楽だろうっていう、教師たちの考えらしい。
...まぁ、一度悲しみは吐き出した方が楽だからね。
「(進行や大体は先生が先導するけど、僕にも役はある...か。)」
実の兄だからか、追悼式の準備とかでも中心に動いていたし、追悼式でスピーチしたり、花束を受け取ってそれを緋雪に対して供える役もある。
「(....これで、皆が立ち直ってくれたらいいんだけど...。)」
そんな、不安と期待を持ちながらも、追悼式が始まった。
校歌斉唱に始まり、校長先生、教頭先生の話。
...そして、僕の番が回ってきた。
「........。」
檀上へ上がり、皆を見渡す。
皆が皆、個人差はあれど悲しい顔をしている。
「.....正直、皆がここまで悲しんでいるとは思っていませんでした。」
マイクを使い、皆に聞こえるように僕は喋る。
手元にスピーチの内容を書いた紙を....置いていない。
必要、ないからね。
「...人の死は、喪失感はあれど実感はないものです。例えどんなに身近な人がいなくなってしまっても、実感をあまり感じられず、そして徐々に喪失感が増していく。...そう思います。」
それは、僕も感じたことで、皆も大抵が感じている事だろう。
「だからこそ、僕は皆がここまで悲しんでいる事を、逆に嬉しく思います。」
そう言うと、僕から見える人のほとんどが意味が分からないと言った顔をする。
「...ここまで悲しんでくれるほど、妹の緋雪は慕われていたという事ですから、兄としては誇りに思えます。」
悲しいのも、辛いのも分かる。
だけど、その分慕われていたんだという嬉しさもある。
「緋雪は、いつも明るく、皆と仲良くしていました。緋雪本人からも、何度もそのような話を聞いていたので、本当に慕われているのだと思っていました。」
そこで一区切り付け、はっきりと聞こえるように喋る。
「...それを踏まえた上で、言います。...いつまでも、悲しみに囚われな
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