第2章:埋もれし過去の産物
第47話「立ち直って」
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=優輝side=
「その花はもうちょっとそっちに...ああ、そこそこ。」
花を活けた大きな花瓶の位置を指定し、ちょうどそこに置かせる。
「....よし、これでいいだろう。」
準備が完了し、ようやく完成した。
...全校生徒による、緋雪の追悼式の始まりだ。
―――時は遡り...。
始まりは、ほんの些細な事だった。
「.......。」
「......。」
「......。」
...雰囲気が暗い。皆、緋雪の事を引きずっていて、どう見ても元気がなかった。
「田中ー。この問題を解いてみろー。」
「.....。」
「田中?」
「...あっ、はい....。」
先生の呼びかけにも中々反応しなく、授業の進行度も大幅に遅れていた。
先生たちは、やはり大人なのか、悲しみはしているものの、表面上は大丈夫だった。
「...次は気を付けるように。」
「....はい。」
そう言って、名指しされたクラスメイトは座る。
先生も皆の気持ちを察しているため、無闇に怒る事はできないのだ。
...ただ、いつまでも引きずられるとやはり怒りたくなるようで...。
「お前ら....いつまで落ち込んでいる!」
「「「「っ.......。」」」」
授業を中断し、先生は教卓を叩いてそう言った。
「確かに、知っている人が死んでしまうのは、皆にはまだ早く、辛いかもしれない。....だがな!身内である志導だって立ち直っているんだぞ!!周りが落ち込んだままでどうする!!」
先生も悲しんでいる。それはその怒鳴り声と共に感じられる先生の想いで分かった。
「...っ、すまん、怒鳴ってしまった。授業を再開する。」
そう言って、先生は授業を再開するが、もちろんの事、皆は集中できなかった。
翌日、急遽全校集会が行われた。
どうやら、職員会議で何か話し合ったらしく、そのことについてらしい。
「(...十中八九、今のこの状況だろうな。)」
緋雪は人気者だった。
別に、大会で優勝したとかそういう類で注目されてた訳じゃない。
ただ、おふざけのように作られた“聖祥九大美少女”の一人だったから知られていた。
だからと言って有名なのには変わりなく、親しまれていたのも間違いない。
ふと見渡せば、皆少なからず緋雪の事を引きずっているようだった。
「(皆、どんなに精神が早熟でも小学生には変わりない。....人の死は、相当な波紋を呼び起こしたみたいだな...。)」
皆から
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