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第一章
狂人の村
K国のある村での話だ。この村の老人の一人が突如として異変を見せはじめた。
「うがああああああああああっ!!」
いきなり絶叫しだし暴れだした。それがはじまりだった。
そうしてである。さらにだ。
次には若い男がだ。発作的に暴れだしであった。
牛に襲い掛かりそれを殺し喰らいはじめた。生肉のまま貪りはじめたのだ。
「な、何だ!?」
「牛を生で貪りはじめたぞ」
「しかも内臓まで」
何の味付けもせずである。獣の様に喰らいはじめたのだ。異様そのものの光景だった。
そして他の村人達もだ。
若い女は何と我が子の喉に喰らいついてだ。その血を啜りはじめた。血を吸われた子は命は取り留めたがかなりの重傷だった。
小さな女の子も不意に家に火を点けてけたたましく笑い老婆が真夜中に家の小屋を老婆とは思えない力で鎚を使い壊し尽くした。
誰もが次々に狂いだしそのうえで周囲にあるものを破壊し互いに殺し合う事態となった。その話はすぐに政府にも伝わった。
即座に軍隊が派遣された。そのうえでまず村自体が隔離されそのうえであれこれと調べられはじめた。その結果であった。
軍に同行していた医師がだ。深刻な顔で言うのであった。
「これはです」
「これは?」
「原因がわかったのか?」
「伝染病です」
それだというのである。
「これは伝染病です」
「伝染病だというのか!?」
「この集団発狂は」
「それだというのか」
「はい、そうです」
言いながらであった。あるものを出してきた。それは何かというとである。
鼠の死骸であった。一匹のその鼠の死骸を出してきた。そてを持つ手にはゴム手袋がしてある。病気が感染することを恐れているからに他ならない。
「その通りです」
「鼠というと」
「ペスト」
「それか」
「はい、それです」
まさにそれだというのだ。
「そうした病気です」
「ということは」
「この病気は」
「そうだな」
軍医の報告を聞く将校達の顔に不吉なものが宿った。それがどういった伝染病かすぐにわかったのだ。何によって感染するかをだ。
「ダニか」
「そうだな」
「それだ」
まさにそれだというのだ。
「ダニによって移る」
「ペストと同じくだ」
「そうなる」
それがわかりすぐに政府に報告する。するとその国の国家元首は静かに言った。この国は独裁国家であり国家元首が全ての権限を握っているのだ。その彼が言ったのである。
「ここはだ」
「どうされますか?」
「それで」
「まずはその鼠とダニを回収する」
最初に命じたのはこれであった。
「そしてだ」
「そして」
「次には」
「村は全て焼き払う」
そうするというのだ
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