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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十一話 新体制
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に抜擢され、彼に心酔している。
いつの間にあれだけの人材を調べ上げていたのだろう。私もラインハルト様も大将に味方を作れと言われてから、密かに調べていた。ヴァレンシュタイン大将は私たちよりはるかに多忙だったはずだ。それにもかかわらず、ヴァレンシュタイン閥ともいえる人材を確保している。ラインハルト様もそれに頼らざるを得ない。
ケスラー中将も先日の第三次ティアマト会戦よりラインハルト様との間に微妙な緊張がある。ケスラー中将から艦隊司令官への転出願いが有った。ラインハルト様もケスラー中将を総参謀長にとは言わない。
「焦る必要は無いでしょう。ミュッケンベルガー元帥も総参謀長をおきませんでした。なんならキルヒアイス大佐を一時的に総参謀長代理にしてはいかがです。大佐も何時までも副官ではつまらないでしょう。総参謀長代理なら、会議にも出られますし発言権もあります」
大将は私のほうを見て話しかけた。いつもと変わらぬ優しげな表情だ。私の事を案じてくれる。確かに総参謀長代理なら将官会議にも出る事が可能だ……。
「参考になった。総参謀長はもう少し考えてみよう」
「そうですね。それがよろしいでしょう。ところで小官からも提案があるのですが」
「なにかな」
一瞬だがラインハルト様の表情に緊張が走ったように見えた。ヴァレンシュタイン大将の表情は変わらない。
「メルカッツ提督にも一個艦隊を率いてもらってはいかがでしょう」
「メルカッツか」
「はい、経験豊富な方です。きっと大きな力になってくれると思いますが」
「……いいだろう」
「有難うございます。」
にこやかにヴァレンシュタイン大将が礼を言う。
ラインハルト様が一瞬返事が遅れた理由が私にはわかる。経験も人望も実績もあるメルカッツ大将とヴァレンシュタイン大将が連合する可能性を考えたのだろう。メルカッツ大将とヴァレンシュタイン大将はアルレスハイム星域の会戦で一緒だった。今回新しく艦隊司令官になるクレメンツ中将もだ。
「ところで卿の艦隊はどうする? それと旗艦も与えられるはずだが」
「ああ、そういえばそうですね。艦隊は小規模で構いません。陛下の健康に不安がある今、小官が前線で戦う事は無いでしょう」
確かにそうだ。ヴァレンシュタイン大将に期待されている事の一つは内乱の防止だ。
「なるほど、では旗艦は」
「そうですね。もらえるなら嬉しいですね」
ラインハルト様もようやく楽しそうな表情をした。ブリュンヒルトを下賜された時のことを思い出したのかもしれない。あのときのラインハルト様の喜びは大変なものだった。
「それとヴァレンシュタイン大将、私は出来るだけ早い時期に出征するつもりだ」
「よろしいかと思います。艦隊の規模は?」
「一個艦隊。私が直接率いる」
ヴァレンシュ
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