冴島 大河
第二章 裏切者
第四話 合図
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さらに目の前に現れた人が見えた瞬間、声が出ない程さらに驚いた。
「お前……!!」
「悪いな、宮藤。6代目を返してもらうで」
そこには、いるはずのない秋山と冴島の姿があったのだ。
「兄弟、一瞬ヒヤッとしたで」
「でもワシのお陰で、宮藤追い詰めたやんけ」
「まぁまぁお二人とも、とりあえずは目の前を処理しましょう」
再び宮藤に向き直る冴島だが、宮藤から闘志を感じなかった。
感じるのは、何かからの恐怖。
半ばヤケクソになった目で、宮藤はこちらを睨んでいたのだ。
「桐生の居場所吐かんかい」
「くそ……もう少しなのに……!!」
宮藤はポケットからナイフを取り出し、苛立ち混じりに突き出す。
相変わらず刃物に慣れない秋山は後退るが、冴島と真島は大吾を護るように前に飛び出した。
「桐生はな、神室町郊外にある山の中だ。俺の別荘が、そこにある」
「別荘って……あの山には何もないですよ?何でまた……」
「何も無いからこそ、隠れ家にはうってつけなんだよ」
成る程と頷く秋山に対し、冴島は納得いかない事があった。
「何で今更教えたんや」
「へへっ、桐生はもういらない……ここで6代目を殺ればそれでいいんだよっ!!」
宮藤はナイフを振りかざし、襲いかかる。
慌てて真島は懐に持っていたドスを抜き、ナイフに対抗した。
「あの人が……あの人の期待に応えなきゃならねぇんだよ!!」
「あの人って誰や!?ワシらの知ってる奴か!?」
口元がつり上がる。
答える気は無いと言いたげな表情に、真島は宮藤から距離をとった。
「とりあえず宮藤止めるぞ、真島」
「わかっとるわボケェ!!」
宮藤は、腹の底から不気味な笑い声をあげた。
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