第三部
名誉と誇り
にじゅうよん
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ていたようだが、なんだか下心のようなものが透けて見えており、受け付けなかった、とは彼女の言だ。
同僚や部下からは首を傾げらられ、同姓からはやっかみにも似た視線や空気を感じていたようである。
その意趣返しで命を狙うほど考えなしな人物ではないだろし、かなり理性的な人間であると彼女も知っていた。だからこそ、あの行動にはかなり驚愕したようである。
「私自身、妾腹とはいえ侯爵家の人間です。なので、その影響力も少なからずあります。……私を害することで実家が動くかは分かりませんが、決して好意的には見られないのは明白です」
スタイン自身、子爵位を預かる人間だ。その意味するところが分からないなどと言うこともないだろう。
であるならば、それこそ何が狙いであるかは不明なままだ。
内に取り込むならまだしも、排除するとなるとリスクの方が大きすぎる。
婚姻関係となれば、侯爵家のバックアップも受けられる筈だ。
噂話が全て本当のことであったとすれば、スタインからしてみれば彼女の存在は大きかっただろう。
「ちなみに貴様、歳は?」
「今年で21になりますが?」
そうか、21か。
「……行き遅れか」
「ちょっと黙ってて下さい!」
ちなみに、今も昔も私は独身である。
それなりに私も人気があったと、自惚れでなく自覚ずる部分は多々あった。
そう、この体になってから私のモテ期が到来したわけだ。
しかし、あれは女性ではない。
雌だ。
私は体格に恵まれた個体である。
同族の雌は基本、雄よりも大柄なのだが、それを差し引いても私の美的感覚がそちらに靡くことはなかった。
あれは胸ではない。筋肉だ。
絶対に任意で動かすことができる。私にもできるのだから、絶対にできる。
「……あの、どうかしましたか?」
どうやら随分と遠くへ行っていたらしい。
エリステインの呼び掛けに、私ははっとして彼女を見る。
……うん、骸骨だ。
どこからどう見ても、綺麗な形をした頭骨だ。
この体、もうやだ。
「いや、もしプロメス皇国が裏で手を引いているとしてだ。……何が狙いだ?」
「……狙い、ですか」
エリステインはまた顎に手を当て、うんうんと唸りだす。
「正直、なにも。民を虐げるような行いもしていないですし、むしろ飢餓や伝染病など不足の事態が起こった際には率先して援助を行っています。その他にも診療所や孤児院の経営、教会の力がなかなか届かない辺境の地にも司祭を派遣して教会を建て、辺境に住まう人々の心の拠り所になっています」
隙が無さすぎるだろ。
手を出したら、間違いなくこっちが悪者だ。
いや、私1人にその矛が向かう分には何
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